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そのいわば報酬のようなものを貰うために頑張ったおかげでこの半年間でぐっと賢くなった。と同時にこの国の、父の見たくない面まで見えてしまった。
愛すべき自国なのにも関わらず消えてしまえばいいとまで思えてしまうほど現状は権力を離そうとしないトップたちのせいで悲惨なものだった。
目の前の黒い服を来た彼が腕を大きく広げてくれてそこに飛び込んだ。布の擦れる音とともに広がった彼の匂いは鼻をくすぐりふわっと幸せな気分になる。この半年間で何度抱きしめてもらっただろうか。割れ物を扱うように、大切なものを壊さないように潰さないように繊細に抱きしめてくれる。
その優しい抱擁を楽しんで噛み締めていたらふと肩を掴まれて身体を剥がされた。視線は熱っぽく絡み合い彼の頬は少し上気していて、目を閉じられた際に見えた長いまつげが美しかった。徐々に顔が近づいてきてあと少しで唇が重なる、というところで顔を逸らした。追ってこられないように手で口を隠しながら。横目に見る彼は不機嫌そうに口をとがらせ顔を歪めた。
｢こういうのは好きな人とやらなくちゃダメって言ってるでしょ。｣
｢お前は俺のこと好きなんだろうが。なぜ拒否する。｣
｢キスはふたりとも同じ気持ちでするものなの。そもそも抱きしめてもらってるだけで満足なんだから。｣
｢だからお前はなんでそうやって……！！｣
感情的になった彼は次の言葉を出そうか迷っているようだった。多分、一国の姫に対して言うには失礼なことを言おうとしてるんだけど今更気にしなくていいのに。結局その出てきそうだった言葉は噛み砕かれたようで｢クッ……！｣という声を出した彼は背を向けた。
敵に背を向けるなんて。湧き出てきたこの言葉の意味は特になかった。ただ単にそう思っただけ。私に見せないように意識していたと思う背中は新鮮で、大きかった。ここに抱きつけば彼は多分拒絶はしないだろう。だけれどそれは………悲しすぎる。
彼からされないスキンシップはただの無理強いだ。いくら自分にそういう権力があれどキスと同じように越えたくない一線。背中に抱きしめたくなる衝動を抑えて私は部屋を出た。
私の背を見つめる彼の瞳が色を持っていたことを私は知らなかった。
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れいん(プロフ) - 守りたい君凄く良かったです！壁がある話が好きなので、どストライクでした!!それと、続きがめっっっっちゃ気になります!!! (2018年7月1日 1時) (
レス) id: 3ac9bf0b7c (このIDを非表示/違反報告)
からわさ(プロフ) - 翠音さん» コメントありがとうございます！！甘酸っぱい感じで書きたかったのでキュンキュンして頂けて嬉しいです...！！これからもよろしくお願いします！ (2018年6月18日 23時) (レス) id: 4be6bd897c (このIDを非表示/違反報告)
からわさ(プロフ) - とももさん» コメントありがとうございます！自分でも気に入っているのでうれしいです！続きは書くかは未定ですがまた書いたら見ていただけると嬉しいです！ (2018年6月18日 23時) (レス) id: 4be6bd897c (このIDを非表示/違反報告)
翠音(プロフ) - あぁ〜、コネシマさんありがとうございます...コネシマさん大好きすぎてキュンキュンしてました... (2018年6月16日 9時) (レス) id: fe12b8e0a9 (このIDを非表示/違反報告)
ともも(プロフ) - シッマのお話が好きすぎて…続きがあるなら読んでみたいです！ (2018年6月16日 1時) (レス) id: 5c3f676089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：からわさ | 作成日時：2018年6月10日 11時
