浅瀬を泳ぐ魚達 (ページ40)

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18.ずっと【同僚×ダーマ】ページ40

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テレワーク推進

出社7割削減

最初に在宅が世間で騒がれ始めた頃から
うちの会社はかなり貢献してると思う

久しぶりに出社したオフィスは
そのおかげですっかすか

一気に変わった職場環境に
最初は戸惑いもあったけど

今ではそれが当たり前すぎて

こうして会社に社員証ぶら下げて来る方が
珍しく感じるようになった

手の消毒をして、サーモカメラで検温して

社員証をスキャナーにかざし、出社を記録する

目の前のホワイトボードに目を遣ると

1番上に名前がある、うちの部長は今日は在宅
その代わりに課長がいて…

と、ひと通り下まで見て出勤予定を確認した後

『…はぁ』

私は小さく溜め息をついた

「さすがに1ヶ月会えないの寂しいわね」

『っ、わ、先輩いつからそこに…!』

あからさまに沈んでいる私の背後から

女性の先輩が、私に同調してくれているのだろうか
さも悲しげに本心を突いてくる

先輩だけは、私が沈んでいる原因を知っているから

『べ、別に寂しくなんか…!』

「強がんないの

課長にお願いすれば?」

『そんな個人的な理由で…!』

「じゃあ奇跡的に重なるの待つしかないわね」

先輩は真面目ね、と言い残し

私の肩を軽く叩いて
自分の席へと行ってしまった

私も、いつまでもホワイトボードを見てても
予定が変わる事はないので

先輩の後を追うように席へと向かった

ーーーー
ーー
ー

『はい…はい
かしこまりました

確認して、折返しご連絡いたしますね』

沈んだ気持ちを切り替えて、仕事して
気付けばもう午後2時を回ろうとしている

私はお客さんから、過去の発注について
内容確認の電話を受けていた

もう何年も前になるから
当時の資料はもう別室へ移動されてる筈

『資料室行ってきます』

「はーい」

私は席を立ち、オフィスを出て

資料室がある3階へと
エレベーターに乗って向かった

3階に着いて、ドアから出て
右の奥にある部屋

入口にあるセキュリティーシステムに
社員証をかざして

他の部屋よりも重たく感じるドアを開けた

「…おう、お疲れ」

『ひゃっ』

まさか人が居ると思わなくて
思わず間抜けな声を出してしまった

在宅の筈の人が、目の前にいる

『何で、今日…』

「お客さんから問い合わせ来て

どうしても急ぎなんだって言われたから

そっちは?」

彼は、ファイルを何冊か取り出しながら
私に視線を向けた

『私も、同じ感じ

…この時の案件ので、問い合わせ来て…』

「どれ?」

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