浅瀬を泳ぐ魚達 (ページ14)

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6.君を守るから【年下彼女×ザカオ】ページ14

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『あーもーなんで今日に限って…！』

仕事が急に遅くなって
約束の時間に遅れそうな私は
ヒールで走っていた

ライトアップされた街中を
必死に走り抜ける午後7時前

今日は久しぶりに彼に会えるのに

脳裏に浮かぶは
私に仕事を丸投げしていった先輩の顔

『絶対許さん…！！』

怒りで思わず、でも小さな声で口に出した

10分くらい走ったかな
私は歩調を緩めて、
ショーウィンドウに写る自分を整える

走って乱れた髪を整えて
スカートの形も変になってないか確認

腕時計を見ると、約束の5分前

もう少し先に進んだところにある
ダンススタジオ
正面の入り口を通りすぎて、私は裏側に回った

彼はドアに寄っ掛かり、誰かと電話をしてる

でも私に気付いて手を振ってくれる
ちょっと待って、って掌を見せた

なんか笑って話して楽しそう
次の撮影が～…って話してるから、
相手はシルクさんとかかな…

「了解了解！
あ、彼女来てるから、また明日掛けるわー」

彼は電話を切ると、私のほうに走ってくる

『電話、よかったの？ザカさん』

「うん、大丈夫！シルクだったし、
また明日でも問題ないからさ」

ごめんね、待たせて、って言って
私の手を握って歩き出した

ダンスをしてる彼の手はゴツゴツして固め
だけどいつも温かくて、
手を繋ぐだけで安心する

「Aの手はいっつも温かいな」

いつもそう言ってニコニコしてくれるけど、
それはザカさんに会ってドキドキしてるせいで

ザカさんのことが大好きな気持ちが
まるで手から溢れてるようで
いつもひとりで恥ずかしくなる

ザカさんと付き合い始めたのは半年前

私の高校の時の先輩だったザカさん
ダンスが出来て、とっても笑顔が素敵なひと

友達と一緒に、よく練習してるとことか
遠くから見ていた

卒業して、大人になって
偶々見た動画に、シルクさん達と出ていて驚いた
昔と変わらない笑顔で、でも更に格好よくなってた

高校の時にダンスをやってた友達に
ザカさんが出るイベントとか教えてもらって

毎回見に行ってたら、気付いてくれて
声をかけてくれた

「毎回来てくれてるよね？ありがとう」

『は、はい！ザカオさんのこと大好きで…！』

声をかけてくれて舞い上がって、
告白みたいになってしまったことを今でも覚えてる

でもそれから話せるようになって
更にはお付き合いまですることになって

幸せすぎてバチ当たるんじゃないかってくらい
そのくらい、私はザカさんが大好きで仕方ない

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