Story.26 ページ28
「姫様...本当にお綺麗ですね......」
リリーに先導され、部屋から出ると正装したフィリックスが私を見てそう呟いた。
まるでため息を付くみたいに言うので、リリーを含めメイドたちは誇らしげな様子だった。
「行きましょうか、A様」
「うん。アーティもリリーも、行ってきます」
「楽しんできてね！」
笑顔で手を振る妹に手を振り返し、差し出されたフィリックスの手を取った。
エスコートされながらエメラルド宮を出ると、きっちりと服を着たパパと豪華な馬車。
ここまで正装したパパを見るのは初めてで、私のために着てくれたのかと思うと嬉しかった。
「パパは今日もかっこいいね」
「Aも......綺麗だな」
メイドの誰かがルーシェ様にそっくりだ、と言っていた。
もしかして今パパは私を通してお母様のことを見ているのだろうか？
そうならばちょっとだけ嫉妬。
「どうした」
「なんでもないよ。ありがと、パパ」
子どもっぽい独占欲の思考は隅に追いやってパパの手を取った。
ーーーーー
馬車でパーティー会場に移動している間、ずっと心臓の鼓動がうるさかった。
同じ年の子どもたちってどんな感じなんだろう？怖い人はいない？それよりもパパの子どもだと認めてもらえなかったら？
ずっと嫌な考えが頭をよぎる。
そんなことを考えていたら目的地に着いてしまった。
「行くぞ」
「......」
パパが差し出した手を取るのをためらってしまう。
産まれてから14年生きてきたが家族やメイド以外に挨拶をしたことはこれまでに一度もない。
叔父の家でいない者のように扱われ、皇宮に来てからも世間に知られないように生きてきた。
箱入り娘どころか軟禁された姫だ。
初めこそ知らない世界に胸が躍って、デビュタントを楽しみにしていたが、今は怖い。
思った以上に小心者だった自分に驚きつつも、『他人』への恐怖に支配されていた。
「怖いなら帰ってもいい」
「え......」
「無理にやる必要はない」
そう言うともう一度馬車に乗り込もうとするパパ。
もし今帰ったら？
私は一生このままだ。
「......イヤだ」
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あまね(プロフ) - 主さんのある姫作品が1番好きです！好きすぎて何回も読み返してます笑､､､､､､この後の想像したらニヤけが止まりません😊💕 (2021年11月6日 11時) (
レス) @page40 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
ウォル(プロフ) - とても面白かったですσ(≧ω≦*) 一気に読んでしまいました！！ 番外編等もあれば読んでみたいです♪ (2021年6月11日 0時) (レス) id: 418e00ca05 (このIDを非表示/違反報告)
京(みやこ)(プロフ) - 叶さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(;_;)誕生日一日違いは夢主ちゃんと運命ですね！ (2020年12月14日 14時) (レス) id: 602ac8051b (このIDを非表示/違反報告)
叶(プロフ) - ある姫の中でこの作品が一番好きです！一番驚いたのが誕生日が1日違いのことで、私12.04生まれなんです！これからも応援してます！ (2020年12月13日 22時) (レス) id: fb4f97e659 (このIDを非表示/違反報告)
京(みやこ)(プロフ) - A・O・Iさん» ありがとうございます！私もある姫の作品がもっともっと増えてくれたらと思っています(T_T)そう言って頂けて嬉しいです！最後まで読んで下さりありがとうございました！ (2020年10月18日 21時) (レス) id: 602ac8051b (このIDを非表示/違反報告)
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