3Hz ページ5
[俺は摂津万里]
「私は小鳥遊Aです」
[二十歳の大学一年だけどそっちは？]
「年齢は同じだけど大学二年。身長小さいからよく間違われるけどね」
高校生とか。下手したら小学生にも間違われる。
年齢が近いと言うこともあり、互いに呼び捨てで呼ぶことになった。
「ずっと聞きたかったんだけど、どうして私の耳が聞こえないって分かったの？」
ずっと聞きたかった疑問をぶつけるとしばらく経ってからスマホに映されたのは簡単すぎる答えだった。
[リュックにヘルプマーク付いてたから]
「え？」
そういわれて思い出した。
障害者と呼ばれる人は、赤に白のプラスみたいなマークとハートが描かれたネームタグのようなものを身につけている。
私はそれを学校に持って行くリュックに付けていたのをすっかり忘れていた。
[あと、後ろから声かけたけど全く反応しなかったし。だから耳が聞こえねぇのかなーって]
続けられた文字にはそんなことが書かれていた。
なるほどねと納得し、私の胸のつっかえは無くなった。にしても瞬時にそこまで判断できるのは凄いと思う。
私の「聞きたいこと」が終わったので次は万里の番だ。「聞きたいことって何？」と問うと、指を動かし始めた。
[この街に来たのは初めて？]
「うん。演劇の街なの？賑やかなところだね」
[だろ？]
笑顔を見せると万里はポケットを漁り、紙を一枚取り出した。
[明日から公演あるから良かったら]
「......くれるの？」
コクリと頭を上下に揺らす。そのあととあるトーク画面を見せてくれた。
どうやらそれは先ほどいた、猫ちゃんとお話が出来るお兄さんとのトーク画面で「何かお礼しておいて〜」となんともまぁアバウトなお願いが書かれていた。
つまりこのチケットがお礼と言うことだろう。
演劇は見に行ったことがないが興味はあった。それにヤンキーみたいな見た目をした万里が演劇をしている姿が見てみたいと少し思ってしまった。
「ありがとう、有り難く貰っておくね。絶対に見に行くから」
すると万里はまた笑った。
気付けば駅に着いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠威神(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します。初めまして、留威神と申します。楽しく読ませて頂きました。京様のご都合がよろしければ続きをお願い致します。無理言ってしまい申し訳ございません。楽しみにお待ちしております。 (2021年10月8日 3時) (
レス) @page11 id: f19e899b2c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
