【歌い手】CocktaiL【XYZ】

26杯目 ページ29

〜センラside〜


「そっか……………せっかくセンラに会えたのに残念やな……」


違う、違うんや。


そんなことを言って欲しくてAにこのことを話した訳やない。


「頑張ってね！」


無理して笑わんといて。行ってほしくないって言ってや。


センラ「……………頑張るわ」


「うん」


ちゃんと笑えてるやろか。


止めてほしかったなんて言うたら怒られるやろか。


その後海外赴任の話をしていたら酔いが回ったのかAは寝てしまった。


センラ「すみません、僕におすすめやと思うカクテル作ってもらっていいですか？」


「そうですね…………かしこまりました」


少ししてから目の前に出されたのは赤い、透明なカクテル。


「キールです」


センラ「キールですか………はは、確かにピッタリですわ」


ありがとうございます、と礼を言い一口。


こちらも美味しいカクテルだ。


「んん…………」


センラ「あ、ごめん。起こしてしも………！！」


彼女は泣いていた。


すると聞こえてきた寝言。


「……………やっと、好きやって……気付いたのに」


センラ「！！…………A」


僕が好きやってこと知ってたんや………


センラ「………ごめん」


なんで謝ったのかは分からない。


でも、彼女の言葉を聞いたら謝らないといけない気持ちになってしまった。

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