向日葵 3 ページ7
少年が来なくなって数日……少女は私に話しかけなくなった。
それどころか、あまり笑わなくなった。
「じゃあ、また明日ね」
と小さく手を振る少女の背中は寂しそうで枯れそうだった。
私が代わりになってあげれたらいいのに……あの子の傷つく姿なんてみたくないのに……。
そんなことばかり思っても私にはどうすることもできない。
「あいつは?行った??」
「行ったみたいやで」
「本当にやるの……?」
どこからか声がしたかと思うと、3人の少女が姿を現した。
私をみて不気味に笑う少女はゆっくりと近づいてくる。
怖くなって逃げたい衝動にかられたが、右手に光る刃物は私を捉えていた。
「これぐらいしーひんとわからへんやろ」
「調子に乗って●●に手を出すから」
「しかし、びっくりするだろうね。大事に育ててる花が無残な姿になってたら……」
だめ……やめて……!!これ以上あの子を傷つけないで。
何度叫んでも私はただの花。そんなものは意味もなく少女に掴まれる。
無力だと思い知らされては、少女の笑顔を思い出して何度も何度も願った。
すると遠くから、あの少年の声が聞こえた気がした。
「お前ら、何やってんの?」
「!?;;」
「あんたどうしてここに……」
「邪魔するつもり?」
「邪魔って……何しようとしてるか知らんけど、俺そいつに水あげにきてん。お前らこそ邪魔やからどっか行ってくれへん?」
「はあ!?」
「あんた今の状況わかってんの?」
「あたしらに逆らったら今度は孤立するだけじゃ……」
「えぇから、とっとと失せろ」
少年は憎悪のこもった目で少女たちを睨んで、見る者を震え上がらされた。
恐ろしくなった少女たちは急ぎ足でその場を離れたが、少年はそれをみて深いため息をつく。
「良かった……」
そう安堵の笑みを浮かべる少年はすぐに散ってしまう私たちのように儚い笑みだった。
また、戻ってきてくれた。あぁ、人間だとこんな時泣いてしまうんだろうな。
少年は萎れそうになる私の葉を撫でながら、「どうせひなに水もらったやろーけど、今日は特別な」と少しだけ水をくれた。
そうだ。やっぱり、貴方達は離れるべきではない。
だって、こんなに傷ついてボロボロになっても私を気遣うんだから……
「立派に咲けよ。お前は、ひなの大事な希望やから」
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