【コラボ企画】あの日の花と君と【歌い手】 (ページ5)

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【センラ】向日葵の追憶 / うさ美* ページ5

私は、咲く前からとても愛されていた。
そう感じたのは、土を掻き分けて外の世界に触れた発芽時期。
私の姿をみては嬉しそうに水をくれた少女の顔を、今でも鮮明に覚えている。

「いっぱい日の光を浴びて、いっぱい水を飲んで大きな花を咲かせてなぁ」

少女は私の葉を愛おしく撫でては、いつも優しく微笑んでいた。
毎日毎日飽きもせずに、話せない私に今日の天気や出来事を話す。
私は少女の声が好きだった。笑顔が愛おしかった。
美しくて眩しいその笑顔を向けられるたび、あぁ話したいなと願った。

「今日ね、いいことがあってん。クラスの男の子がな、『おはよう』って挨拶してくれてん」

……

「私びっくりして挨拶返されへんやったけど、嬉しかったなぁ……でも印象悪く映ってへんやろか(苦笑)」

……少女が独りだということに、気付いてしまった。
こんなに優しくて愛らしいのに、少女は誰からも愛されてないのだと思うと悲しくなった。
でもある日、少女はまだあどけなさがあるもののきりっとした顔だちの美少年を連れて来た。
どこか優しげな少年は「へぇ～種から育ててはるんや」と私を見て笑う。

「授業中ずっと何か書いてたやろ?気になって覗いたら、絵描いてたのが見えてwそれが向日葵だったからさ、なんとなくそうかなーって……綺麗だったなぁ、あの絵」

私の絵を……??

「わ、私の絵……綺麗、ですか……?」

「うん!!俺は好きやで!」

「……あ、ありがとう……!!」

あぁ……きっとこの少年はこの少女のことが好きなんだろうな。
そう悟って、今度は早く咲いてあげたいなと願った。