【コラボ企画】あの日の花と君と【歌い手】 (ページ32)

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Aがこの世を去ってから、数日経った。

葬儀も終わって、俺はAの病室の荷物を取りに病院を訪れていた。

Aの担当だった看護師さんから荷物を受け取り、帰ろうとしたその時。

「あのね、これAちゃんが…あなたにって。」

そう言って看護師さんがくれたのは紫色の花の花束と小瓶。

そして、手紙。

そこにはAの綺麗で丁寧な字で＂ウォルくんへ＂と書かれていた。

俺は手紙を開いた。

.

ウォルくんへ。

ウォルくんがこの手紙を見ている時、きっと私はこの世にはいないんだろうね。

ウォルくんがいたから、私はここまで生きて来れたよ。

お医者さんに＂もう手の施しようがない＂って言われて、家族に見捨てられて。
とても辛かった時にウォルくんは私の側にずっといてくれて。

毎日毎日、ウォルくんは来てくれて。
私が大好きなお花を持ってきてくれて。
私凄く嬉しかった。

私が病気になって、生きてた意味は＂ウォルくん＂でした。

ウォルくんの幸せを天国で祈っています。

今まで、側にいてくれてありがとう。

大好きでした。

A

.

その手紙はところどころ水が染みた様な後があった。
それはきっとAの…彼女の涙だったんだろう。

俺はただ流れてくる涙を必死になって拭っていた。

ふと、看護師さんが言った。

「…その、花束のお花。＂シオン＂っていうお花でね。

花言葉は…

.

＂あなたを忘れない＂。」

あぁもう…こんなサプライズとか苦手だったはずなのに。
いつの間に上手くなってたんだよ…。

「それと…、この小瓶ね。開けてみて？」

そう看護師さんから言われ俺は震える手で小瓶を開けた。