【コラボ企画】あの日の花と君と【歌い手】 (ページ30)

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ウォルピスカーター / 君の香り / 舞陽瑠ページ30

＂花は、いつかは枯れちゃうんだよ。＂

＂凄く綺麗なのに、その綺麗は永遠じゃないの。＂

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俺が持ってきた花を見て、君は寂しそうに微笑みながらそう言った。

白くて、細くて、今にも儚く消えてしまいそうな君。

君がこの真っ白い部屋から出られなくなって、もう1年が経つ。

最初は何も付けられていなかったのに、今となってはいろんなところにチューブが付けられ、ベッドの周りは機械だらけ。

君────Aの家族は、もうAのことを見捨てた。

だから、Aのお見舞いに来るのは俺だけ。

Aは花が好きで、病人のくせに何故か花の香りの香水を着けるぐらい。

でも、俺はAのその香水の香りが好きだったりする。

俺はそんな彼女に、花を持って行く。

枯れそうになったらまた新しい花を買ってこの真っ白い部屋まで行く。

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ふと、思った。

「Aはさ、俺がいない時何してんの？」

『んー？ウォルくんがいない時はね、いつもウォルくんの歌声聴いてるよ。ウォルくんが持ってきてくれたお花見ながら。』

Aはそう言って綺麗に微笑んだ。

「…何それ、照れる。」

俺は照れ隠しで、Aの桜色の唇にキスを落とした。

『ふふ、照れてるんだ？』

「…うるせー。」

この時、気が付いていたら良かったんだろう。

『…ね、ウォルくん。』

「どした？」

『＂ウォルピスカーター＂買ってきて。』

「ウォルピスカーターじゃなくてカルピスウォーターだってのw
わかった、ちょっと行ってくる。」

『ん、行ってらっしゃい。』

Aはいつもの微笑みではなく、笑顔でそう言って俺を見送った。

それが、

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俺が最後に見たAの笑顔だった。