【コラボ企画】あの日の花と君と【歌い手】 (ページ11)

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ベゴニアページ11

最近彼女は元気がなかった

なんかあった？と聞いてもなんでもないと悲しい表情で首を振るだけでなにも言わなかった

いつもみたいに本を読んでると彼女の栞が変わっていることに気づいた

前に彼女はこの栞はお気に入りだと言っていたのを思い出した

もしかしたらと思ったが多分そうだと俺の中で思った

家に帰って少しずつ埋まっていく本棚を整理していると奥に何かがあるのがわかった

それを取ってみると彼女のお気に入りの栞だった

おそらく彼女に借りた本のどれかに挟まっていたのだろう

そして栞は本に押しつぶされてくしゃくしゃになってしまっていた

俺はその栞を見てしばらく突っ立っていた

数日後俺は彼女に本当のことを言おうとある物と栞を持って彼女に話しかけた

「あのさ、前にお前が持ってた栞が…家から出てきてさ…」

そこまで言うと彼女は目を輝かせ本当！？と聞いてきた

「けど、本に潰されててこんな感じになってしまったんよ…」

くしゃくしゃになった栞を見て彼女は悲しそうな顔をしたけど

「ありがとう！探してたんだ！」

と彼女は微笑んで俺に言った

「でさ、そのお詫びなんだけど…これ代わりになればと思って…」

渡したのは前に君に貰ったのはスミレの押し花の栞けれど、俺があげたのはベゴニアの押し花の栞だった

お袋に頼んでやり方を教えて貰ってあげられる様な物ができるまで数日はかかったけど、作ることは出来た

「こんなので良ければどうぞ…」

すると彼女はそれを受け取って嬉しそうに微笑んだ

「ありがとう凄く嬉しい…このくしゃくしゃになった栞は残念だけれど、でも正直に言ってくれてありがとうしかもこの栞凄く可愛いこれからはこの栞を使うね」

そう言って君は今挟んであった栞を抜いて俺の作った栞を挟んでくれた

俺が、ベゴニアの花に込めた他の想いは言わないでおいた…。