秘密の朝 ページ30
目覚ましもつけず、いつも重たいはずの瞼は今日はすんなりと開く。
突然入り込んできた光に少し目を細め、数回の瞬きの後仰ぎ見た。見慣れない天井と自分の部屋じゃない香りに少し理解が遅れて、ようやく隣に視線を投げる。
「…起きたんか」
「…今、目ぇ覚めた。」
毛布の隙間からにゅっと出てきた手が、私を引き寄せ抱きすくめてくる為、素直にすり寄って手を回した。
「……おはよ。」
「……はよ。」
なんとなくむずがゆくて、勝己くんの胸に額をこすりつけたままくぐもった声でつぶやく。
髪を梳く様に撫でる手は変わらず暖かくて、もう少し甘えていたいなぁと思ったのもつかの間。
ダンダンダンッッと勢いよく扉の叩く音に二人そろって肩が揺れる。
一気に冷や汗をかく私とは正反対に、ものすごいスピードで起き上がった勝己くんは私を毛布でぐるぐる巻きにして部屋の入口へと向かった。
余りの早業に目を丸くし、とりあえず頭から足先まで毛布に包まれて隠れ身を顰めることにした。
これでもし入り口に立っている相手が先生だったらいろいろと危ない。と思いながら途端に心臓がざわつく。
「朝からうっせ……んだよ」
一瞬止まった勝己くんの声に、いよいよ私の心臓まで止まりかける。続いて聞こえてきた声は幼く、ほっと胸をなでおろした。
しばらく入口の方でぎゃんぎゃん叫ぶ会話が聞こえていたが、落ち着いたのか荒々しくカギをかけ床を踏み鳴らす音。
ひょこ、と毛布から顔を出すと、ベッドに腰かけた勝己くんはおかしそうに私の頭を撫でた。
「……どなた。」
「…アホ面とクソ髪」
これで分かる様になった私も私だが、この人の私以外の扱いが驚くほどぞんざいなのが理由なのでため息をつく。
先生じゃなくてよかった、と呟いた私に、立てるか。と伺う声。
「うん、お腹すいたし」
上体を起こして、毛布をたたもうとベッドから降りた刹那。
「……あれ」
「…は？」
へにゃん。とその場に座り込んでしまい、思わず腑抜けた声をこぼした。
追いついてくるだろうとばかり思っていた勝己くんも振り向いて近寄り、かがんでくれる。
「あ、れ…おかしいな」
のばされた手を素直に受け取り力を込めたのだが、どうしようもない不甲斐なさに羞恥が募り俯く。耳まで熱が溜まった顔を上げられず、ぎゅぅ、と大きな手を握った。
「…もうちょっと、ゆっくり、してからでいいですか」
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Umi(プロフ) - なゆさん» わ〜！！楽しんで頂けてよかったです！こちらこそご覧下さりコメントまで頂戴しありがとうございます…！！ (2021年12月2日 21時) (
レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
なゆ(プロフ) - 終始ときめきっぱなしでした...！！好きです！ありがとうございました！ (2021年11月30日 4時) (レス) @page33 id: 8a48c9aede (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - 羽凪_9さん» 長いお話をご覧頂き、また私の妄想にもありがとうございます…！！同士様…！！🥺大変嬉しいです！よろしければぜひ、よろしくお願い致します🥰 (2021年11月27日 20時) (レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
羽凪_9(プロフ) - 最後まで読ませていただきました！主様、分かります…バクゴーはどちらかと言うとかっこいーって感じだけど見れば見るほど…カワイクネ?思ってくるんですよね…ホントもうスンゴイ、分かります！… 、お気に入り作者様に追加させて頂いてもよろしいでしょうか?! (2021年11月27日 17時) (レス) @page37 id: cebfff4930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2021年11月25日 15時
