許される関係性に ページ19
相変わらず塵ひとつない、整理整頓された部屋。
ペットボトルが汗をかいて、窓から入り込む柔い風が髪を揺らす。
時折立ち止まって、私のシャーペンが擦れなくなったら顔を上げる勝己くんは小さく口を開いた。
「…どした。」
「…ここ、……ちょっと待って、もうちょい一人で頑張る」
「…ん。」
とん、とシャーペンの先でノートを叩き、余る手で顎をさする。
ノートから目を離さない私にも機嫌を損ねる事無く頷いてくれた勝己くんに、しばらくしてヘルプを出した。
「…勝己くん、やっぱ助けて。」
もうお手上げ。とオレンジ色のシャーペンを置いた。
動き続けていたペンを止め、真正面から教科書を覗き込んでくる勝己くん。
眉を顰め、腰を上げた。
読みにくかったのだろう、私の隣に移動してきて、教科書を読み込んでいる。
「…数学苦手」
ノートを広げたまま突っ伏して、組んだ腕に頭をのせる。
覗き見た勝己くんの、眉間に皺の寄っていない端整な顔。長い睫毛と、どこまでも深い赤色の瞳。
薄い唇が少し内側に巻き込む様に隠れたかと思うと、彼の大きな手が視界を遮った。
「…見ンな、気ぃ散る」
「負けるなかっちゃん」
「うぜェ」
ぐ、と覆われた手をどかすと、デフォルトの顔を顰めたかっちゃんとご対面。折角の端正な顔が台無しよ。
まぁ、そんな顔してても好きだけど。という思考は黙っておいた。彼に透視の個性とかがなくて随分と助かった。
「…起きろ」
「お、分かった？」
「俺に分かんねェもんなんてのはねェんだよ」
身を起こし、前髪を手櫛で整えシャーペンを握る。彼の低くてたまに鼻にかかる声はいつも心地よかった。
「さすがかっちゃん」
「馬鹿にしてンだろ」
「してないしてない」
これがこうで、と一個一個順序だてて説明してくれる勝己くんのおかげで、無事躓いていた問題もクリア。問題集を解き終え背伸びをする。
「ふぃ〜…ちょっと休憩しよ」
体固まっちゃう。とすぐ後ろにあるベッドを背もたれに寄り掛かった。隣の勝己くんは、何故だか私をじっと見つめる。
「…勝己くん？」
「……なんでもねぇ」
ふい、と視線を逸らした彼は腰を上げ、何か食うか。と背伸びした。
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Umi(プロフ) - なゆさん» わ〜！！楽しんで頂けてよかったです！こちらこそご覧下さりコメントまで頂戴しありがとうございます…！！ (2021年12月2日 21時) (
レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
なゆ(プロフ) - 終始ときめきっぱなしでした...！！好きです！ありがとうございました！ (2021年11月30日 4時) (レス) @page33 id: 8a48c9aede (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - 羽凪_9さん» 長いお話をご覧頂き、また私の妄想にもありがとうございます…！！同士様…！！🥺大変嬉しいです！よろしければぜひ、よろしくお願い致します🥰 (2021年11月27日 20時) (レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
羽凪_9(プロフ) - 最後まで読ませていただきました！主様、分かります…バクゴーはどちらかと言うとかっこいーって感じだけど見れば見るほど…カワイクネ?思ってくるんですよね…ホントもうスンゴイ、分かります！… 、お気に入り作者様に追加させて頂いてもよろしいでしょうか?! (2021年11月27日 17時) (レス) @page37 id: cebfff4930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2021年11月25日 15時
