唯一気負わずいれる場所 ページ16
ちょっと面貸せや、というセリフは、ドラマの中だけではないらしい。
とことこと発言主勝己くんの後ろをつく。
「どこ行くの？」
「あ？お前の教室」
「はっ、え！？送ってくれんの？」
ならそう素直に言ってよ、というのは黙っておいた。
一人で帰す訳にいかねェだろ。とごちられたセリフが意外過ぎて舌を巻く。
セキュリティ万全の雄英高校の中で、食堂から教室までのたった数分の距離をそういってもらえるのは、少し、いやかなり、期待してしまう。
軽快に床を鳴らし、数歩前を歩く勝己くんを追いかけ隣に立った。
「ありがと。」
にっと笑うと、一度面食らった様な顔はすぐ前へ向かれ、小さな相槌が届いた。
クラスの話やらをしていれば、そこからそこというのは本当にすぐである。少々名残惜しく思えばこの男、何も気にせず教室へと進む。ずかずかと。
まるで自分の教室だと言っているくらい自然に入るし、思わず二度見するクラスメイトも何も言い出せない。
「躊躇いなさ過ぎじゃん」
「あ？同じ学校なんだし別にいーだろ」
「かっちゃんの基準広いなぁ」
声を上げて笑ってしまいながら、私の席へと案内する。
こちらへどうぞ、とウェイトレスよろしく指し示してみれば、お前が座れや。と意外な一言。さっきは他人の家に土足で上がり込む様な風貌だったのに。
それじゃあ。と素直に腰を下ろすと、机に寄り掛かる様に腰を下ろした勝己くんは私を見下ろした。
必然的に、見上げるとぱちりと目が合う。何だか暇を持て余して手を揉んだ。
「…放課後、空いてるか」
「へ？え、あ、うん。空いてるよ。」
「…迎え来る。教室で待っとけ」
「りょ。どこか行くの？」
突然の話題提供に、思わず目を丸くする。首をかしげると、ぴくりと眉を顰めた勝己くんは言葉を迷った。
暫く待って、か細い声をようやく聴きとる。何だか珍しい事が多すぎて、雨どころか槍でも降りそうなくらいだ。
「分かった。楽しみにしてるね」
ちらりと時計を覗いた彼が、時間を確認して腰を上げる。思っていたより随分と短くて、何だか少しもの悲しさを覚えた。
「送ってくれてありがと」
「…おー。」
ポケットに突っ込んでいた手が、ぽんぽん。と軽く私の頭を撫でていった。だからどうして、ここ最近こんなに距離を詰めてくるのかは分からない。
彼の去った教室。友人の質問攻めに上手く答えられないくらい、私は動揺していた。
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Umi(プロフ) - なゆさん» わ〜！！楽しんで頂けてよかったです！こちらこそご覧下さりコメントまで頂戴しありがとうございます…！！ (2021年12月2日 21時) (
レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
なゆ(プロフ) - 終始ときめきっぱなしでした...！！好きです！ありがとうございました！ (2021年11月30日 4時) (レス) @page33 id: 8a48c9aede (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - 羽凪_9さん» 長いお話をご覧頂き、また私の妄想にもありがとうございます…！！同士様…！！🥺大変嬉しいです！よろしければぜひ、よろしくお願い致します🥰 (2021年11月27日 20時) (レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
羽凪_9(プロフ) - 最後まで読ませていただきました！主様、分かります…バクゴーはどちらかと言うとかっこいーって感じだけど見れば見るほど…カワイクネ?思ってくるんですよね…ホントもうスンゴイ、分かります！… 、お気に入り作者様に追加させて頂いてもよろしいでしょうか?! (2021年11月27日 17時) (レス) @page37 id: cebfff4930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2021年11月25日 15時
