夢の中で ページ2
『……此処は…？』
僕は、暗闇の中に立っていた。
何処を向いても真っ暗で、少しだけ怖くなった。
？「＿＿＿、＿＿＿……」
『誰か…いるの……？』
何処からか声が聞こえて、声がする方にゆっくりと歩いた。
すると、いきなり目の前が明るくなって、目を瞑る。
『っ……え…？』
目を開けると、そこは見覚えのある場所。
そこには、僕がずっと会いたかった人物が僕に微笑みかけながら立っていた。
『ぉ……姉、ちゃん…？』
氷「久しぶりだね！」
『お姉ちゃんっ……！』
氷「ふふ、よしよし。」
あぁ……やっぱりお姉ちゃんは落ち着くなぁ…。
お姉ちゃんに撫でられた時、すっかり冷えきってた僕の何かが、暖かくなるのを感じた。
氷「私の本体、ずっと持っててくれてありがとね。」
『うん…』
お姉ちゃんはふんわり微笑むと、僕の顔を両手で包んで真剣な顔をした。
氷「ねぇ、A。
私達が折れたのは、Aのせいじゃないんだよ。
あれは、仕方のない事だったの。」
『っ違う……あれは…僕がもっと強ければ……皆は、折れたりなんかしなかった…！
僕が……僕が！』
氷「A！」
お姉ちゃんに呼ばれて、ハッとする。
氷「……Aは、何も悪くない。
皆も、そう言ってたでしょ？
もう忘れちゃった？」
『……忘れて、ない…。
ちゃんと覚えてる…。
でもっ…！皆を犠牲にした僕が、のうのうと生きるなんて……』
氷「良いに決まってるよ！
Aは、私達を必死に守ろうとしてくれてたでしょ？
Aはもう沢山頑張ったから、これからは幸せになって良いんだよ。
怖がらなくても大丈夫。
あの人間は多分良い人だから、信じても良いと思う。」
『！？』
驚いてお姉ちゃんを見ると、お姉ちゃんは苦笑いをしていた。
お姉ちゃんも人間に酷い事されてたのに……すぐに信じるなんて…。
氷「あの人間の霊力ね、凄く澄んでて暖かかったんだ。
Aも気付いてるでしょ？
そのお陰で、私もこうしてAに会えたしね！」
まぁ、夢の中でだけだけどね…。と笑うお姉ちゃんを、僕はただ呆然と見つめていた。
確かに、あの人間の霊力はとても暖かくて綺麗だった……。
他の人と話している時も、こっそり見ていたけれど、悪い人ではなさそうだった。
氷「あ……そろそろお目覚めかな？」
『もう……会えない…？』
氷「大丈夫！Aが呼んでくれれば、夢で会えるから！
それじゃあ、またね！」
『……ぁ…』
待って、と言うより先に、僕の意識は遠のいていった。
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