とうかめ ページ11
「…普段は料理しないんじゃなかったっけ」
「全くしません。めんどくさいし手間かかるんで」
「(…いや絶対嘘でしょ)」
本当に料理をしていないのか信じられないほど彼は手際が良かった。
全寮制の大学を出て以来自炊生活を送っていた私でも、彼とは天と地ほどの差があった。
私の口の大きさを配慮してか、豆腐は少し小さめに。
片栗粉はダマにならないようにしっかり水に溶かし、火を止めてからゆっくりと流し入れている。
これが才能ってやつか…としみじみ思いながら、忙しく動く彼の手を見つめる。
「……出来ましたよ」
「盛り付けて持ってくんで、あっちで待っとって下さい」
「!うん」
ダイニングにいそいそと座り、ショッピくんの料理を待つ。
と、5分もしないうちに2人分の麻婆豆腐と水の入ったガラスのコップを器用に持ちながら、ショッピくんが料理を運んできた。
「すごい…!!」
「
『いただきます』
ぱくりと大きな白いレンゲを口に運ぶ。
…?隠し味か何かなのか、少し独特な風味がした。でも美味しいな…
「ん、〜!!!!」
「ん、
「?なんて…??」
「いや、Aがかわええなって」
「ん、ぐ」
「だいじょぶですか?」
そう言って、心底楽しそうにくふくふと笑ってみせるショッピくん。
ショッピくんの反応を見る限り、もう私を家に残すことに対しての不安や心配は綺麗さっぱり無くなっているようだった。
…簡単に言えば、信頼されている。なんかちょっと嫌な信頼のされ方だが。
私も、彼を信頼してはいた。"私に決して手を出さない"という点では特に。
………が、しかし信用はしていない。
情報があまりにも少なすぎるのだ。マフィアのこと、彼自身のこと、私には分からない中国のこと……
数え出したらキリがない。
「(それでも、私は彼の居場所でありたいと思っている)」
彼の居場所になりたい、彼が私の居場所であって欲しいと、思ってしまった。
…思ってしまった、のだ。
考えてしまったのならば、願ってしまったのならば、もう戻れない。…まあ、ここにいた時点で既に手遅れだったが。
「…ねえ、ショッピくん」
「どうしました?」
「私のこと、捨てないよね」
「…当たり前、デス」
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ロト - utさんと恋バナっすか、、、、良いっすめちゃくちゃ良き!!! 夢主ちゃんカワユス! (12月8日 0時) (レス) @page25 id: 41e3ad35b2 (このIDを非表示/違反報告)
ロと - いいっすねぇ!!!めちゃくちゃ好きです!! (11月26日 15時) (レス) @page19 id: a5e85f110a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏恵 | 作成日時:2023年11月19日 21時