好きと嫌いの定義 ページ15
今、急に岩泉がわからなくなった。
「そんなに私のことが嫌いなら、岩泉がどっか行ってよ」
かなり的外れなことを言っていることは重々承知。
岩泉のことを嫌だと思ったことは一度もない。でも、邪魔だと思ったことは、正直沢山ある。
及川の傍には、いつも岩泉がいた。
私は岩泉がずっと羨ましかった。
私がいつまで経っても及川の一番になれないのは、岩泉がいるせい。
岩泉、邪魔だよ。そこから退いて。
アンタがいる限り、私は及川の一番になれない。
でも私が岩泉を邪険にしないのは、及川の一番が岩泉だから。私が彼の代わりになることは、ない。
どんなに岩泉に冷たくされたって、私は及川から離れない。一番になることは、決して諦めない。
でも岩泉が及川から離れたら、及川はきっと私なんて放って彼を追いかけるのだろう。
心底悔しいと思う。
どう足掻いたって、私は岩泉には勝てない。
「そういう話じゃねえんだよ」
「じゃあなに？私が及川の傍にいたいって思ったらいけないの？」
「…ちげえ」
声を荒げる私とは正反対に落ち着いた態度の岩泉に、さらに私は頭に血が上ったように冷静さを欠いていた。
「私が、女だから？」
荒くなる呼吸に比例して鼓動も早まる。
岩泉といると、折角及川が私に与えてくれた心の余裕が全部消えてなくなる。
「私が、及川のこと好きだから？だからいけないの？」
「おい、落ち着け」
「嫌いなら触んないでよ！」
私の肩に触れた岩泉の手を、勢いよく振り払う。
「あ、ごめ、」
咄嗟に出た言葉。
しまった、と思った時にはもう遅い。
岩泉は面食らったような、でも私が触れてはいけない何かに触れてしまったような、そんな何とも言えない表情をしていて、いたたまれない気持ちになって息が詰まった。
「ごめん、」
「…いや」
呼吸を整えると、岩泉が踵を返して「行くぞ」と背で言う。
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いおり - 道徳の教科書に載ればいいのにぃ!!泣くことしか出来ませんが…凄く素敵な作品で本当に号泣しました!!１日で全部読ませて頂きましたがここまで素晴らしい小説は今までで一番だと思います!! (2020年12月9日 15時) (
レス) id: 5e524467c0 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 本編は全て夢主目線なのに他の登場人物の感情も伝わってきて、切なくなりました。作者様の描写が繊細だからこそ、読み手にしっかり伝わるのだと思います。番外編でまた深く心情が知れて切なくなりました。特にマッキーがかなりグッときました。すごく素敵な作品でした！ (2020年6月22日 9時) (レス) id: 2f4dc25fc0 (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ面白かったです！一人一人の言動の真意とかしっかり話が作られていて、リアルで凄いです！ (2020年6月21日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
ルーテル(プロフ) - 今まで読んだ占ツク作品で1番好きかもしれません…1人1人の心情がリアルでぐちゃぐちゃなのに真っ直ぐな恋心がとても心地いい作品でした！マッキーの切なさが一番心に来ました…いい作品をありがとうございました！ (2020年5月31日 22時) (レス) id: 98b39f25a9 (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 泣いた...岩泉夢主さん好きなのかなぁ？は勘違いか...もうカッコよすぎ...ごちそうさまですっ (2020年1月13日 12時) (レス) id: 538cc2e76e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年10月17日 21時
