ネコ騙し合い愛【黒尾鉄朗】

クロと猫被り ページ7

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「呼び捨てにされるのも俺のメンツが立たねえし、特別にクロでもいいけど」








研磨がこうやって誰か連れてくるのあんまねえしな、と付け足す。






「クロ…？」
「あぁ、研磨もそう呼んでる」






「どうする？」と不敵に笑って私を見下ろし催促を掛ける。






「じゃあ、それで」






私が小さく答えると、彼は満足そうに笑った。


なんで、私はこの男と仲良くするみたいな流れになっているんだ。
ていうかこの男が、こんなにすんなり昨日のことを口外しないでいてくれるのだろうか。
少しだけ口止め料的な何かを覚悟してきたんだけど。






「なに、まだ何かあんの」







そう言った ‛クロ’に私は目を細めた。








「あれ？貴方二年生だよね？ちょっとお願いがあるんだけど」








クロと睨み合う中、女の先輩に声を掛けられて私は彼から視線を外して短く返事をした。








「これ、二年生の各クラスに一部ずつ配布しておいてほしいんだけど」







と、パンフレットを数部手渡された。



頼めるかな？と申し訳なさそうに言う先輩に、私はお得意の作り笑顔で「はい！任せてください！」と答えると、そばにいたクロが「ぶはっ」と吹き出した。



「どうしたの黒尾くん」と先輩が不思議そうに彼を見る。




私はというと、自分で言うのも何だが眉間にしわを寄せて物凄い険相で彼を睨み上げていた。









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