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仲間と特権 ページ50

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初めてコイツを見たとき、ただのやべえ女だと思った。壁に向かって一人で喋ってる女なんて、どう考えても普通じゃねえだろ?

でも、話してみると案外普通だった。

俺の周りにいる女とは、明らかに違うタイプで、最初は面白半分で近づいた。

だんだん、コイツのことを知っていくうちに、愛着が沸いた。

傍に置きたいと思った。

ま、距離を置かれたときは結構ショックだったけど。







一見キラキラした人間に見えて、それは猫の毛皮を被った全くの別人。

それでも一本通った太い芯と、何にも屈しない心。

そして猫を被っているからこそ、周りの目を気にしているからこそ長けている、周囲を観察する力を持っている。








そんな、Aちゃんだからこそ、俺は大丈夫だって、太鼓判を押せる。




「よーし、練習再開するぞー」



それは少し、贔屓しすぎだろうか。

いいじゃねえか。俺の自慢の彼女なんだから。








「クロ」







全員が練習に戻っていく中で、研磨が俺を呼ぶ。








「虎とAが一緒になったらうるさいんだよね。あとリエーフ」







分かりやすく顔を顰めた研磨の視線の先には、ボールカゴを運ぶのに全力で走るAちゃんとリエーフ。






「体力ないですね!」
「体力の問題じゃなくて、アンタの手足が長すぎなの…」




その少し先では「おーいどこで止まってんだ!ゴールはここだぞ!」と手を振る山本。


何をやってるんだアイツらは。入部一日目の馴染み方じゃねえぞ。







「連れて帰ってよ、クロ」







研磨がこんなに人に対して何か言うことは珍しい。







「研磨」






だからこそ、俺は少し嬉しく思う。









「アイツのこと、頼んだぞ」








研磨の頭をわしゃわしゃと撫でると、少しウザそうに俺を見る。









「クロも、たまには来てよね」








少し嫌そうな顔をしながらも、そう言った研磨が少し顔を綻ばせたような気がした。








「アイツを手懐けられるのは、俺だけだからな」







逆に俺意外に手懐けられてたまるかよ。







「よーし、まず折り返しダッシュからやんぞー」






アイツが、【自分】でいられる場所が、少しでも増えればいい。


自分の中身も、好きになってほしい。


もっとたくさんの【仲間】が、できればいい。


たくさん、笑っていてほしい。





あーでも。
俺以上の存在は必要ねえからな。







―――Aちゃんの傍にいられるのは、俺だけの特権だ。



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設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 音駒   
作品ジャンル:恋愛
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クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです!! (2022年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます!毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました! (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます!丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ1つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです! (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年9月29日 17時

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