ネコ騙し合い愛【黒尾鉄朗】

陶酔感と要求 ページ34

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「も、もう一回言って」

「…は？」

「…もう一回言って！」






人を疑ってきた分、何度でも確かめたくなってしまう。




自分から離れていく恐怖心を、払拭するように。









「んなの、何回も言うことじゃねえだろ」









クロの呆れた声が背に届く。









「ったく」









頑なに動こうとしない私に、クロが息を吐く。









「あと一回だけだぞ」









ドキドキしながら、続く言葉を待つ。




言葉よりも先に、肩に重みがかかって。




クロの息遣いが、すぐ、耳元。




後ろからふわりとクロが私を包み込む。




肩が強張って、体が硬直したように動けない。









――――――‛好きだ’









クロのその一言に、胸がいっぱいになった。




誰に言われても少しも響かなかったその言葉に、満足感と幸福感で心が満ち溢れた。




手で覆った顔の熱は、しばらく冷めなかった。







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「つうか校舎裏で会ったとき、山本がいたのはなんでだよ？」
「自分に好意のある女の子を前に、他の女の話するのは誰よ？」







―――あの人ね。Aがクラスでどうだとか、仲良くしてやってくれとか、Aの保護者みたいに色々聞いてくるの。一緒にいるのは、私なのにね。









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「つうか、お前はどうなんだよ？」

「ど、どうって？」

「俺のこと、好きなのかって」

「…！」

「…」

「ニヤニヤしないで」

「どうなんだよ」

「…」

「…」

「す、好きだけど？」

「…」

「…」

「も、何か言ってよ！」

「いーや、お前可愛いなって」

「は、はぁ？」









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そのあと、教室まで送ってもらった私を見たマミが、泣いて喜んでくれた。




孤爪も、察したように「仲直り、したんだ」と、一言言った。







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