孤爪とゲーム ページ4
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「こ、孤爪くん」
次の日のお昼休み。
自分の席で膝を抱えてゲームをしている孤爪に声を掛けると、彼はゲームに夢中で私の声なんて届いていない様子。
「あの、孤爪くん」
カタカタとゲーム機のボタンを忙しなく移動する指が、邪魔をするなと言っているようで。
でも、私にとっては今後の学校生活が懸かっている一世一代のピンチなわけで。
「孤爪くん！」
私がばっと彼の手からゲームを取り上げると、孤爪は驚いた表情をしてゲーム機を追って顔を私に向けた。
「孤爪くんさ、三年の背の高い先輩と仲いいじゃない」
「いいからゲーム返して」
孤爪の伸ばす手をひょいとかわす。
「ちょっと、お願いがあるんだけど」
ゲームを返せと言わんばかりのその鋭い目つきに、私は渋々ゲーム機を返す。
私からゲーム機を受け取った孤爪は、画面を見ては嫌そうな顔をして肩を落とす。
そして孤爪は再びゲーム機を私に取り上げられることを警戒してか、若干私から引き気味にゲームを再開させた。
「孤爪くんってば、話聞いて」
「うるさい。耳元で騒がないで」
顔を顰めて私のいる側の耳に手を当てて、更に体を逆側に引いた孤爪に、小さく謝る。
「俺、忙しいから」
忙しいって、ゲームじゃん。
ゲームから視線を逸らさずに言う孤爪に私はムッとして、ゲーム機の画面を手で覆った。
女の子からのお願いをシカトするとは何事か。
「ちょっと」
孤爪が画面から私の手を剥がそうと、ゲーム機を動かす。
「話聞いてってば」
私に背を向けてゲームを続ける孤爪に、私は強硬手段だ、と彼の小さな背中から手を忍ばせてゲーム機のボタンを適当にポチポチ押した。
「あっ、」
孤爪の短い声とともに、ゲームオーバーを連想させるような音がゲーム機から聞こえた。
「ごめん、ちょっと勢いあまって」
嘘。狙ってやった。
私の話を聞かない孤爪が悪い。
そんな私に孤爪はわかりやすく、不機嫌そうに唇を尖らせて私を見た。
「なに」
孤爪が机に置いたゲーム機の画面には【コンテニューしますか？】の文字。
完全に私のせい。
「あ、あのね。孤爪くんって三年生の背の高い人と仲いいでしょ？」
「…」
考える素振りを見せることなく、まるで ‛誰’ とでも言いたげに目を細める孤爪は私のお陰で少し仏頂面。
あまり話したことないけど、こういう人なんだ、孤爪って。
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クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです！！ (2022年11月21日 22時) (
レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました！ (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます！丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ１つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです！ (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月29日 17時
