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友達と傷 ページ30

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「私、マミの友達…?」
「当たり前でしょうが!」





彼女の強い言葉が、今まで幾度となく張ってきた防衛線の内側に入ってくる。


こんな私を、彼女は友達だと思ってくれていた。


その十分すぎる事実を、本人が伝えてくれたことが嬉しくて。







「わっ、私…」





今まで蓄積されてきた何かが、必死に我慢してきた何かが、一気に崩壊したように涙が溢れた。






「マミが、大事で…っ、でも、マミはクロが好きで…」





辛い。苦しい。逃げたい。


だから私はいつまでも変われなくて。


嫌なことからは全部目を背けて。


【友達】の存在に縛られ続けて。


何をするにも、脳裏に焼き付いた昔の悪夢が、呪縛みたいにぐるぐると。






「それで、私はっ、マミのこと、応援しようって、決めたのにっ…、」





そこで言葉が詰まる。


私はここで本当に、自分の気持ちを明かしても良いのだろうか。


彼女が好きな人のことを、私も好き。


それを伝えてもなお、彼女は私のことを友達だと言ってくれるのだろうか。







「A、私ね」





私の目から流れる涙が、マミが頬に添えてる手に伝う。


歪んで映るマミも、泣いていた。







「いつも一緒にいるのに。どこか踏み込んでこないアンタ、正直苦手だった」






涙は枯れることを知らない。


自分は弱いって、改めて思い知らされる。







「逆に私が近づこうとしても、絶対に一定の距離を保って他人を近寄らせないアンタも」






マミの正直な言葉に顔を逸らそうとするけど、マミがしっかりと私の顔を固定して、逃がしてはくれない。






「私、前から知ってた。Aが黒尾先輩と仲いいこと。だから、少し意地悪したくなった」





校内にいる全員を、教師すらも縛り付ける鐘の音なんて気にもならないほど、私たちは互いに目の前のことに必死で。






「だってアンタ。私たちと一緒にいる時と、黒尾先輩と一緒にいるときの表情、全然違うんだもん」






悔しいよ。


そう呟いたマミが、やけに小さく見えて。






「私に黒尾先輩取られそうになっても、アンタ笑って協力するし。そんなの、お人よしもいいところだよ」






自分が彼女をこうも追いこんだのかと、酷く責め立てる。


傷つけまいととった行動が、逆に彼女を傷つけ、そして泣かせた。





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設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 音駒   
作品ジャンル:恋愛
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クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです!! (2022年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます!毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました! (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます!丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ1つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです! (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年9月29日 17時

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