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相槌と山本 ページ24

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それから、お昼休みに私がいつも行っていた特別教室棟に行くことはなくなった。


クロと話さなくなった。


クロを見つけても、私が無意識に逃げ隠れてしまうんだ。


そんな私とは逆に、マミはクロを見つけるなり駆け寄っては楽しそうに話していた。


これでいいんだ、と自分に言い聞かせる。


マミが嬉しそうに私にクロとの近況報告をしにくる度に、私はなんだか胸が苦しくなった。


後から生まれた妹に、母親を取られたような。
まるで自分で自分の首を絞めいているような。
そんな感覚。


クロは、私のものでもないのに、ね。






「別に、私は元々こうだったわけだし」





あの日以降、お昼休みは今までの特別教室棟から、校舎裏の日陰へと場所を移した私は、鬱憤晴らしに、相変わらず一人でぶつぶつと言葉を吐き出していた。


ここは特別教室棟ほどじゃないけど、滅多に人が来ない。もし来たとしても足音ですぐに気づく。






「マミが喜んでくれるなら、友達でいてくれるなら。私はそれでいいの」





変わったのは、場所と。






「ねえ?」





―――相槌を打ってくれる人がいないっていうことだけ。







「A…さん…?」






その声にハッとして振り返ると、







「な、なんでここ…」






派手なモヒカン頭が視界に飛び込んできた。


足音はおろか、気配すらしなかった。
一体何なんだ。クロも、孤爪も、山本も。
バレー部全員気配を消す何かを習得してるというのか。


私のテリトリーが、ことごとくバレー部によって土足で踏み込まれ、そして邪魔される。


立ち上がると、山本がいつもの調子で私をバレー部のマネージャーに勧誘する言葉を並べ始める。


ここまでくると、口説き文句にすら聞こえる。


めげないなぁ。その諦めない精神と根性だけは、認めてやらなくもない。


ていうか、私がここにいる理由は訊かないのか。






「山本くん」
「は、はい」






山本は、散々私をバレー部のマネージャーに誘うくせに、私と一切目を合わせる気はないらしい。






「なんで、私をそんなにマネージャーに誘うの?」

「え、いや。か…、可愛いし、他の学校のマネに対抗できるかな、って…いうか」





もじもじしながら答える山本に、私は小さく頷く。


ほら、これが普通の男子の反応。
私は可愛いんだから、顔を真っ赤にさせるのが普通だよね。


クロがおかしいんだよね。







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設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 音駒   
作品ジャンル:恋愛
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クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです!! (2022年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます!毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました! (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます!丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ1つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです! (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年9月29日 17時

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