盗み聞きと注意不足 ページ2
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「ていうか可愛いって、可愛くしてるんだから当たり前じゃん」
可愛くすることに貪欲な女の子なんているのだろうか。
でも、たまにこうしてちゃんと吐き出さなきゃやっていられないのもまた事実であるわけで。
そろそろ戻らないと。トイレが長すぎるって不審に思われるのも嫌だし。
そう思って立ち上がって教室に戻ろうと踵を返す、と。
「あれ？もう終わり」
腕を組んで壁に寄りかかる、トサカのような髪型をした黒髪の背の高い男が、意味深な笑みを浮かべて私を見ていた。
「確かにな〜、自分で可愛いって言っちまうのも頷けるわ」
男が私の顔をジロジロと見る。
気配、全然しなかった。
鼓動が早くなっていくのを感じる。
今の全部、聞かれてた…？
「な、んでここ」
動揺せずにはいられない。
入学してから ‛素’ の私を誰かに見られたことはない。
この場所で、人に出くわしたこともないのに。
でもこの人、見たことないし二年じゃない。多分三年だ。それが不幸中の幸いか。
「たまたま通りかかっただけだけど。そしたらしゃがんでるお前見つけて具合でも悪いのかな〜って思って近づいたら一人で喋ってたから面白くて、よ…ぶはっ、」
吹き出して笑っては堪えるようにくっく、と笑って壁から背を離す彼に、私は思わず身構えてしまう。
「まぁまぁ、んな警戒すんなって」
飄々とした態度で一歩近づく彼に、私は一歩後退する。
「もしかしてだけど、お前三組？」
「なんで私のクラス、」
私が目を丸くして見ると、彼は不気味な笑みを浮かべて私を見る。
「あぁ、前に研磨が言ってたんだよ。‛クラスに気味の悪い女がいる’って。普段は大人しいのにたまに不気味な呪文唱えてる女がいるってよ」
…あぁ、それは間違いなく私のことだ。
ケンマ、って孤爪研磨のこと…？
あの金髪で髪の根本が黒いプリン頭の…？
ずっと自分の席でゲームしてるあの人…？
ていうか、私の独り言聞かれてたってこと…？
細心の注意を払って、周りに誰もいないことは必ず確認しているのに。
「その様子だと、間違いなくお前のことだな」
「…い、」
「い？」
「いっ、一生の不覚だって言ってんの！」
声を張り上げて彼を睨み上げるも、やっぱり彼はニヤニヤして私を見ていて。
こんなこと言ったら、認めたも同然だ。
ていうか、こんなことしている場合じゃない。
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クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです！！ (2022年11月21日 22時) (
レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました！ (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます！丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ１つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです！ (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月29日 17時
