猫被りと鬱憤晴らし ページ1
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「隣のクラスの花ちゃん、１組の常盤くんと付き合ったらしいよ」
「え、マジ？花ちゃんってあの三つ編み女子の？」
「そうそう。意外だよね、あの常盤くんがＯＫするなんて」
「常盤くんは私らの永遠のアイドルだと思ってたのに」
「なーんか釈然としない」
お昼休み。
私は同じクラスの友達と、４人で机を囲んでお弁当を食べていた。
いや、果たして友達と呼べるのだろうか。
だらしなく足を組んで他人を見下すような発言をする彼女たちを横目に、私はブロッコリーを口に運んでいた。
「ね、どう思うA」
急に話を振られて、驚いたあまりさほど噛んでいないブロッコリーをほぼ原形のまま丸飲みしてしまった。
「Aくらいのレベルの子だったらアタシらも納得するのにね〜」
「本当Aって可愛いもんね。髪サラサラでまつ毛も長くて羨ましい」
そんな彼女たちのお世辞と言えばお世辞らしい褒め言葉に「そんなことないよ」と適当に笑い、食べ終えたお弁当箱に蓋をする。
「ちょっと、お手洗い行ってくるね」
「一緒に行こうか？」
「ううん、大丈夫」
「そ？行ってらっしゃーい」
私は彼女たちの下品な笑い声を背に、教室を出た。
少し小走りで角を曲がり、トイレを通り過ぎて階段を降りる。
一階まで降りたところで、私は人気のない校舎の隅の壁に向かって、脱力したようにしゃがんで膝を抱えた。
「はぁ。子供じゃないんだからトイレとか一人で行けるし」
女子特有の数人でトイレに行くあの風習は何なの。
友達待たせてる状態で用を足すなんて落ち着かないだけじゃない。
「ていうかなに。常盤くんが誰と付き合おうが勝手だし」
都合よくアイドル変換して見ているだけの自分たちが何を文句言おうが、全部負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
「寧ろ勇気を振り絞って告白した彼女を称賛するべきじゃん」
そういう子だから彼も付き合ったんでしょう。
なんで彼女がアンタたちに見下されなきゃならないの。見下されるべきはアンタたちだ。
―――ぶつぶつとひとり、小声で溜まった鬱憤を晴らす私は、俗にいう猫被りだ。
「本当に疲れる、どうしよう」
周りへの印象って、かなり大切だと思う。
もう本当の自分を曝け出せないとしても、腫れもの扱いされて周りに人がいなくなるよりかは幾分かマシだった。
自分を繕ってさえいれば、私の居場所はなくならないのだから。
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クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです！！ (2022年11月21日 22時) (
レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました！ (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます！丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ１つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです！ (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月29日 17時
