騒動と先輩 ページ40
.
「Aさん、彼氏いるの!?」
「三年生と付き合ってるって本当!?」
「しかも、あの黒尾先輩ってガチ!?」
「今までの告白全部断ってたのに、なんで!?」
こうなることが、目に見えいていた。
なになに、と私とクロのことを知らないイノっちとアンナも集まってくる。
どうしようどうしよう。早くチャイム鳴って…!
女子ってなんでこんなに噂好きなんだろう。質問攻めばかりしてくるんだ。当人からしたら、鬱陶しい以外のなにものでもないのに。
質問に次ぐ質問を回避すべく誤魔化し程度に適当に笑っていると、私の名前を呼ぶマミの声が聞こえて、私の手を引いた。
ガタっと半ば強引に席を立たされた私は、人の間をぬって手を引かれるがまま教室を出る。
「お、おはようマミ」
階段途中の踊り場に出たところでマミが立ち止まり、挨拶をしてみる。
「おはようじゃない!なんでこんな騒ぎになってるわけ!?」
私の手を握ったまま勢いよく振り返ったマミは、緩いパーマのかかった長い髪をうざったそうに耳に掛けた。
彼女は心なしか、緊迫した表情をしているように見えた。
「…この間告白された□□くんに、言った」
「はぁ?」
呆れ声を上げたマミに、冗談めかすように「へへ」と笑って見せると「笑い事じゃない!」と一喝される。
「あぁ。アンタ、わかってないよ…」
マミが私の手を離して自分の額に手を当て、眉間にしわを寄せる。
自分でも、こうなるくらい想像できていたことだ。許容範囲ではあったのだが、ちょっとここまで大事になるとは。
「私は隠しておいた方がいいって思ったんだけど、」
「いい?」
マミが私の両肩にそっと手を置く。
その真剣な表情に、私は思わず一歩後ずさる。
「あ、あの子」
「なに?」
「ほら、黒尾の」
踊り場下を通りかかった三年の女子の先輩が私を見ては、ギリギリ私たちに聞こえる声の大きさで話している。
「黒尾が年下って」
「意外だね」
嫌味を含めたようなそれは、あえて私に聞こえるように言ってるとしか思えなかった。
私も人のことを言えた義理じゃないけれど、性格悪。
先輩たちが歩いて行ったことを確認して、マミが声を潜めた。
「今ので分かったでしょう?黒尾先輩って、モテるの」
…やっぱりそうだったか。
会ったときから、そうだろうなとは思っていた。
.
1239人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです!! (2022年11月21日 22時) (レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます!毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました! (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます!丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ1つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです! (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小鈴 | 作成日時:2019年9月29日 17時