ネコ騙し合い愛【黒尾鉄朗】

言葉と裏返し ページ22

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「お前さぁ。昨日のなんだよ？」







ため息交じりに言葉を発するクロに、私は白々しく首を傾げた。






「昨日は、先生に呼び出されて」

「自分から誘っておいて本人は来ないで友達寄こすってどういうわけだよ？おまけにお前の友達だから邪険にもできねえし？」






盛大なため息を吐いたクロに、私は少し申し訳ない気持ちになった。


確かに、クロに誘われたのに、そこに現れたのがマネージャー勧誘目的の山本だったら、私だってあまりいい気がしない。






(ん？つまり…？)








「クロは、私と帰りたかったってこと…？」
「ソウジャナイ」
「むふっ」








片言で私の言葉を全否定したクロが、私の頬を指で挟んだ。


お陰でタコのような口の形になる。








「痛いんですけど先輩」

「勘違いも大概にしてください後輩」
「ふぁい」







解放された頬を擦る。意外と痛かったんですけど。


日頃の私の鬱憤晴らしの腹いせか知らないけど、ここぞとばかりに余計な力を込めやがって。


折角の可愛いお顔が台無しじゃないか。







「あの子に傘貸したっつっても、ほぼ初対面だからな」

「そんなに私と帰りたかったの？」







私の言葉に、わかりやすく顔を歪めたクロに、不服ながら小さく謝る。


そこは女の子としては嘘でも‛そうだな’の一言くらい欲しいものだ。


でも、よくよく考えたら友達の好きな人と今こうして二人でいることって、良くないことなんじゃないだろうか。








“××くん、Aちゃんが好きなんだって。本人から聞いた”

“じゃあAちゃんって、友達の好きな人、取っちゃったんだ？”







あぁ、そうだよね。


こんなところ、マミが見たらどう思うかな。


本当に、友達の色恋沙汰って、勘弁してほしい。








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