染められた林檎【赤葦京治】

３人 ページ8

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「えー、なんでだよ。赤葦」








部活終了後、木兎さんに自主練の断りを入れると、わかりやすく唇を尖らせた。








「Aさんと、ご飯に行く約束をしまして」

「は！？なんで俺抜きで行こうとしてんだよ！？」








そういえば、なんでだろう。


昨日の埋め合わせなら、木兎さんがいてもいいよな。








「木兎さんも、行きますか？」








俺が言うと「うんうん」と、大きく首を縦に振って目を輝かせる木兎さん。


…犬だ。木兎さんの腰元に、忙しなく動くしっぽが見える。


そうして、俺と木兎さんは手早くモップをかけて体育館を出た。









「おーいA〜！」







校門でスマホのブルーライトを浴びているAさんに、木兎さんが楽しそうに手を振る。








「あ、赤葦」








木兎さんと同じようにAさんが手を振る。


俺が待たせた謝罪をすると、「全然待ってないよ」と笑う。








「なんで俺じゃなくて赤葦に手振るんだよ」

「ま、木兎も来ると思ってたけどね〜」







木兎さんの言葉を無視してAさんが歩き始める。


「腹減った〜」と木兎さんがお腹に手てる。








「私もたくさん動いたからお腹ペコペコ」

「発表近いのか？」

「そうなんだ〜。他の学校と合同発表会があるんだよね」

「へえ、がんばれよ！マリアンヌ！」







バシッと、結構強い力で木兎さんに背中を叩かれたAさんの細い体がよろめく。








「木兎さん、そんなに強く叩いたらAさん折れます」

「おぉ、悪いA！大丈夫か！」








俺の言葉に、木兎さんが慌ててAさんの背中をさする。









「やっさしいなぁ、赤葦は！」









木兎さんに背中をさすられるAさんが俺を肘で突く。


なんだ、この構図は。









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