独占競争 ページ42
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「木兎さん、どうしたんですか」
木兎さんの元気が、ない。
俺がネクタイを締めながら言うと、木葉さんがこそっと耳打ちをした。
「アレだよ。お前ら付き合ってるんだろ？最近嘆いてるんだよ。Aと赤葦が構ってくれないって」
「…」
ダラダラと制服に着替える木兎さんを見る。
俺もAさんも、付き合ってから良くも悪くも今までと特別変わったことはない。
「木兎さん、ボタン掛け違えてますよ」
俺の言葉に間延びした返事をした木兎さんは床に座り込む。
「んじゃ赤葦。あと木兎よろしくな〜」
「お疲れ赤葦〜」
「お疲れ様です」
部室を出る先輩を見送って、この場に残されたのは俺と木兎さん。
「木兎さん早く着替えてください。鍵閉めますよ」
「赤葦」
俺に背を向けた木兎さんが呼ぶ。
「なんですか、木兎さん」
「…俺は、赤葦とAが付き合うことは許したけど、互いに独占していいとは言ってない！」
叫んで立ち上がった木兎さんが鼻息を荒げる。
「別に、独占してませんよ」
「いーや。この前Aが‘明日は赤葦にお弁当作ってあげるんだ〜ふふん’って言ってて‘俺にも作って！’って頼んだら‘やだ’って言われたんだぞ！しかも即答だぞ！」
しかも！と張り上げた声に、まだあるのか、と肩を落とす。
「赤葦お前もだ！」
「なんですか」
「この間部活の帰りに小見たちと飯行くぞって誘ったらお前‘今日用事あるんで’って断ったよな！？俺は知ってんだぞ。次の日Aが鞄についたネコのキーホルダー見てニヤニヤしながら‘昨日赤葦に取ってもらったんだー’って言ってたんだ！」
「何言ってるんですか木兎さん。デートという立派な用事じゃないですか」
いいから早く着替えてください、と制服を木兎さんに渡す。
「あかーし！俺が言ってるのはだな！今まではお前らが付き合ってなかったから言わなかったけどな、お前ら二人の優先順位一位は俺であるべきだと、」
「いいから本当に早く着替えてください。見回りきます」
でなければ置いていきます、と言うと木兎さんはやっと手を動かし始めた。
「木兎さん」
俺は自分のロッカーを閉める。
「俺とAさんが付き合っていようがなかろうが。俺の一番の先輩も、Aさんの一番の友達も、木兎さんであることには変わりないんですよ」
手を止めた木兎さんに息を吐く。
「木兎さんいい加減にしてください。本当に置いていきますよ」
そんな、ある日の出来事だった。
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです！続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (
レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛！」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです！今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます！番外編と続編も楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい！！実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした！！本当に小鈴さんの作品大好きです！！！！！ (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです！他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月7日 19時
