手を。 ページ27
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俺はとりあえず、水で濡らしたタオルを固く絞り、冷蔵庫に入っていた飲料水をコップに注いでベッドに向かう。
「カーテン、開けていいですか」
「…うん」
返事を待ってカーテンを開けると、心なしかさっきよりも顔色がよくなった気がするAさんがベッドに座っていた。
でも、まだ顔は赤いな。
「寝ていてください」
俺はベッドのわきにあった机に、タオルや水、桶を置く。
「水、飲みますか」
「ありがとう」
水を注いだコップを手渡すと、Aさんは喉を鳴らした。
飲み干したコップを受け取り、Aさんの背に手を添えて彼女を横にさせる。
額に水にさらしたタオルをそっと置くと、驚いたように短く声を上げた。
俺はそばにあったパイプ椅子をひいて腰下ろした。
「ごめんね、赤葦」
ビー玉みたいに綺麗な瞳で俺を見ている。
「謝らないでください。とりあえず、一旦寝た方が楽になりますよ」
俺が言うと、膝に置いていた手に触れられ、肩が小さく跳ねる。
触れられたら思ったら、ゆっくりとベッドの方へ腕を引かれ、腰を上げて引かれた逆の手がベッドに付く。
「あかーし、手冷たいね〜。気持ちいい」
俺の手が、Aさんの熱い頬に触れている。
手のひらに、柔らかい感触。
やたらとドキドキする。
俺の手に頬を擦り寄せる彼女を見て、相当熱があるのだろうなと改めて思う。
「あれ？赤葦がいる〜夢かな〜」
なんて、訳の分からないことを言っている彼女に、俺は寝るよう促しその綺麗な髪に触れ頭に撫でた。
「あかーし、どこにも行かないで」
手を離して椅子に腰を下ろそうとした俺のワイシャツの裾を掴む彼女に、俺は目を丸くする。
「ここに、いて」
一体この人は、俺をどうしたいんだ。
「ここに、いますよ」
だから、安心してください。
再び頭を撫でると、満足したように笑った彼女は、静かに目を閉じた。
俺は、自分の額に手を当てて椅子に腰を下ろし、もう寝息を立てている彼女を見る。
────この人が、俺から離れない方法を教えてほしい。
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです！続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (
レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛！」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです！今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます！番外編と続編も楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい！！実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした！！本当に小鈴さんの作品大好きです！！！！！ (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです！他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月7日 19時
