君の背中にエールを。【五色工】

試合開始 ページ34

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開始は烏野のサーブから。





「オーライ」
と五色くんのレシーブは綺麗にセッターに返り、エースへセット。


烏野はきっちり三枚ブロックを揃え、牛島さんの正面にはリベロが配置されている。


でも、時間に余裕を持たせた高いトスから放たれる強烈なスパイクは―――






「ナーイスキィー牛島！」

《ダンダン》

『牛島！』





正面で受け止めたリベロのレシーブをはじいて、ボールは真後ろに。


まるで、ブロックを揃えようが、レシーブを正面で捕らえようが、全て関係ないと言うように。


力で、ねじ伏せていく。


そんな、一点目だった。


次の白鳥沢のサーブも、烏野のジャッジミスにより追加点となる。


立てかけるように続くお見合いによるミス。


多分、緊張による焦り。


自分でもどっちに肩入れしてるんだと突っ込みたくなるけど、痛いほど伝わる緊張感。


私、よくわかる。


こんな舞台、誰だって緊張する。


慣れている彼らとは違う。


でも、





「落ち着けー！！！自滅してる余裕ねえぞ！！！」




烏野の控え選手の大声によって、少しずつ調子を取り戻していくかのようにも見えて。


それでも─────








「ナーイスキィー牛島！」

《ダンダン》

『牛島！』






大エースは止まらない。


相手の学校の攻撃が決まってないわけじゃない。


大エースを止めることができないのだ。


これは、必然だろうか。


決まるスパイクの大半は牛島さんの得点。


点数の差は、縮まるどころかひらいていく一方。




(五色くんのサーブ！)



彼の放った強力なジャンプサーブは拾われたものの、こちらのチャンスボールとしてコートに返ってくる。


そこから繰り出される大エースのスパイクは、力強く床に叩きつけられ、観客席まで跳ね上がる。





「ナーイスキィー牛島！」

《ダンダン》

『牛島！』





「牛島くん、止まらないね！」
「ねー！すごいね！」





「ナーイスキィー五色！」

《ダンダン》

『五色！』





でも、大エースにだけ頼りっぱなしの彼じゃない。


乱れた展開からのスパイクは綺麗にストレートに決まる。


エースになる男だから。



《ピィーッ》



でも、やっぱり、最後の一点は大エースがブロックをぶち抜いて白鳥沢がセットを先取した。







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