決勝戦 ページ31
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全日本バレーボール高等学校選手権大会
宮城県代表決定戦 決勝戦
(き、緊張する)
私と同じように、コートの中での緊張を隠しきれてない烏野高校の選手を見る。
白鳥沢は、まだコートに入ってきていない。
インターハイ同様に学校総出で埋め尽くされた観客席は白と紫。
私はそんな白と紫に紛れるようにして配置につく。
大太鼓に合わせた掛け声。
メガホン。
応援プラカード。
学校名の書いたのぼり。
高い笛の音。
それから【強者であれ】力強い字で書かれた横断幕。
《ダダダダンダダンダンダダン》
その大太鼓が合図かのように。
『
《ダダンダンダダン》
『
《ダダンダンダダン》
私は高く高くポンポンを上に掲げ腕を振る。
《ダダダダンダンダダンダンダダンダンダンダン》
「さぁ、行きましょう」
『さぁ、行きましょう』
がんばれ、がんばれ。
「今日の相手は」
『今日の相手は』
「烏野高校」
『烏野高校』
大丈夫。
「よろしくよろしく」
『よろしくよろしく』
そして────
『ワァ』
会場に入ってきた白鳥沢の選手たちに、沸き上がる観客席。
あぁ、風格が違う。
私は堂々とする五色くんを目で追う。
対戦相手と、全然違う。
慣れ、だろうか。
それとも、王者としての、威厳だろうか。
選手が揃ったところで、各校順番にウォーミングアップが始まる。
「ファイトー若利!」
『ファイトー若利!』
昨日見た、小さな烏。
「見て!あんなちっちゃい子がいる」
「補欠かなぁ」
「なーんかかわいそうになるね」
「どうしても弱い方を応援したくなっちゃうよね」
そんな制服の生徒の会話。
ここまで来て、弱いわけがない。
「ファイトー獅音!」
『ファイトー獅音!』
そして、小さな烏が、飛んだ。
違う意味でわっと驚きの声が上がる観客席。
でも、勝つのは
「ファイトー工!」
『ファイトー工!』
私は知っている。
どんな飛び道具を使ってこようが、絶対に負けない。
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あまね(プロフ) - 3年ぶりも大好きです (2月18日 3時) (レス) @page42 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
hwanieee - 私が好きな自信満々ででもまだ完璧じゃなくて繊細な五色くんがいて感動しました! (2月12日 10時) (レス) id: 307954f471 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年8月14日 20時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
和敬 - 出会って1年と経ちますが、今でもこの小説だけは何十と読み直してる位 大好きです。甘酸っぱくて、だけどちょっと、もどかしさもあって 。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2020年11月9日 0時) (レス) id: a0a88ff10f (このIDを非表示/違反報告)
てつこ - 最高の夢をありがとうございます (2020年1月28日 1時) (レス) id: d5585a65a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年8月25日 22時