熱意の差 ページ3
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五色くんが勢いよく引いた椅子に、後ろの席の男子がビクッとして「ごめん」と謝る。
そして五色くんは、ガタっと脱力するように座り机に頬をつけて唇を噛み締めている。
どうしたのって聞いた方がいいのだろうか。
でも隣の席ってだけで、特別親しいわけじゃないし。
目が、潤んでいる。
ていうか…!な、なんか、視線が、…めちゃくちゃこっち見てる!
犬みたいな目で、こっち見てる…!
「なんで何も聞いてくれないんだよー!」
机から顔を離してわんわん騒ぎ出した五色くんに、私はあたふたしながら口をパクパクさせる。
こ、こういうタイプの人だったの…?
私はもうちょっと、こう…お調子者だけど、クールっていうか、冷静っていうか。そんな感じを勝手に想像していたんだけど。
意外と感情的なところあるんだ。
「ど、どうしたの…?」
恐る恐る聞くと、五色くんはピタリと静かになる。
「…俺だけ、練習量増やされた」
拗ねた口調で、静かに言う五色くん。
ちょっと、拍子抜け。
隣の席の人が【スポーツ推薦入学者でバレー部の次期エース候補】だって聞いて、ここ一か月少し気張っていたから。
実際見てみると、背高いし、常に自信に満ち溢れているし、おかっぱだし。
でもその自信はきっと、並み以上のバレーに対する熱意とその練習量。
ずっと兄を見てきたから、なんとなくわかる。
「でも私なんか部活についていくだけで精一杯で、部長に他の人の倍頑張らないとって言われてて」
あはは、って軽く笑いながら言うけど、五色くんは笑う私を真顔で見ている。
五色くんを慰めるつもりで言ったんだけど…なあ。
「俺も頑張らないとな。エースになる男だし」
頬杖をついて紙をペラペラと揺らす彼。
ちらりと見え隠れするその紙には、文字がぎっしり。
私は練習についていくだけでいっぱいいっぱいで、自主トレーニングする体力もないのに、五色くんはさらに練習するっていうの…?
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あまね(プロフ) - 3年ぶりも大好きです (2月18日 3時) (レス) @page42 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
hwanieee - 私が好きな自信満々ででもまだ完璧じゃなくて繊細な五色くんがいて感動しました! (2月12日 10時) (レス) id: 307954f471 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年8月14日 20時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
和敬 - 出会って1年と経ちますが、今でもこの小説だけは何十と読み直してる位 大好きです。甘酸っぱくて、だけどちょっと、もどかしさもあって 。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2020年11月9日 0時) (レス) id: a0a88ff10f (このIDを非表示/違反報告)
てつこ - 最高の夢をありがとうございます (2020年1月28日 1時) (レス) id: d5585a65a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年8月25日 22時