攻防戦 ページ36
.
そして、誰も予想しないような展開となる。
烏野のリベロが、牛島さんのスパイクをとれるようになってきて、一番背の高いメガネの人もワンタッチを取る回数が増えていく。
揃えている三枚ブロックも牛島さんにクロスは打たせないぞと言うように完璧に締めてくる。
ブロックに引っかからない抜け道はストレートのみ。そこを抜けた先はリベロがいて。
序盤に牛島さんにばかり集めていたトスによるスタミナ温存だろうか、牛島さんに上がるトスが減っていく。
代わりに天童さんや五色くん、他の人たちによる攻撃が増えていく。
最初はレシーブが上がらなかった牛島さんのサーブも、だんだんと上がるようになっていく。
牛島さんや五色くん、他のスパイカーの強打に備えているブロックとエンドライン沿いで構えているレシーバーの隙を見たセッターのツーアタックが決まる。
相手のセッターも余程負けず嫌いなようで、すぐにツーアタックでやり返してくる。
「瀬見さーん!」
「瀬見!ナイッサー頼むぞ!」
そんな声援を送られてコートに入ったピンチサーバー。
「ナイッサー英太!」
ペロリ舌舐めりをして放たれた強烈なジャンプサーブは、レシーブが上がったものの相手を乱しこちらのチャンスボールとなる。
「上!白布!」
セッターの頭上に上がったボールに、烏野の10番がブロックに跳ぶ。
「ハイ!瀬見さん!」
が、セッターは前に入っていたピンチサーバーに、オーバーハンドでトスを上げる。
「工、入って来いっ!」
「ハイ!」
そこから上がったトスを、五色くんがブロックの間を割いてスパイクを綺麗に決める。
(これで、ブレイク)
「ナァーイスキィー五色!」
《ダンダン》
『五色!』
(五色くん…)
さらに畳みかけるように打たれたジャンプサーブにより、乱したと思われた烏野の攻撃だが―――
「!?」
(また、あの攻撃…)
理屈の通じない、ブロックが追い付けないほどのドンピシャのトスとスパイクにより、再び同点へともつれ込む。
負けられない。互いに、一歩も譲らない。
両者一歩も譲らない攻防を繰り返す中で、一瞬の隙。
しつこいブロックが続き苛立ちからか、ほんの少しだけ乱れた大エースへのトス。
そんなトスですら打ち抜くと思っていたが、
「あ」
どしゃっとブロックに叩き落された、白鳥沢は第二セットを落とした。
セットカウント 1−1 。
.
437人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - 3年ぶりも大好きです (2月18日 3時) (レス) @page42 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
hwanieee - 私が好きな自信満々ででもまだ完璧じゃなくて繊細な五色くんがいて感動しました! (2月12日 10時) (レス) id: 307954f471 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年8月14日 20時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
和敬 - 出会って1年と経ちますが、今でもこの小説だけは何十と読み直してる位 大好きです。甘酸っぱくて、だけどちょっと、もどかしさもあって 。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2020年11月9日 0時) (レス) id: a0a88ff10f (このIDを非表示/違反報告)
てつこ - 最高の夢をありがとうございます (2020年1月28日 1時) (レス) id: d5585a65a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小鈴 | 作成日時:2019年8月25日 22時