嫌味な後輩 ページ9
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午前の授業を終えた解放感に、私は腕を天井に向けて伸ばし、全力で重力に逆らっていた。
ギュッと瞑っていた目を開けると、視界の端に入った赤葦の姿。
教室内をキョロキョロ見回していた赤葦と目が合う。
「どうしたの？」とクラスの女子生徒に声を掛けられ、「いえ」と相変わらずの無表情で返す赤葦は、明らかに目で私を呼んでいた。
なんですか、と軽く息を吐くと同時に席を立って廊下に出る。
「どうしたの赤葦、ここ三年の教室なんだけど。迷子ですか」
「Aさん、一人なんですね」
友達いないんですか、と言わんばかりに見下ろされ「余計なお世話だ」と言えば「何がですか」と冷静に返される。
「で、何か用」
「木兎さんが教室にいなかったのでAさんのところかな、と」
「木兎なら今日は月一のジャンボ焼きそばパンの日だから購買戦争に行ってると思うけど」
「あ、そうでしたっけ」
しっかりしてそうな赤葦でも忘れたりすることあるんだ。
意外とちゃんと人間なんだな。
そんな失礼なことを考えている私は薄情だろうか。
「木兎に何か用だったの？」
「先月の部費の立て替え分を返してもらおうと思って」
「また？私が払おうか」
まるで赤葦は木兎のオカン。
懲りずにまた赤葦に立て替えてもらったのか。
「いえ、部活の時に会うので」
「そ？」
私は教室にある財布を取りに行こうとする足を止める。
「赤葦、さ」
私が思い立ったように呼ぶと、赤葦が短く返事をする。
「こうやって部費回収を口実に私と長話して、私が木兎のところに行くのを阻止して邪魔しようって魂胆でしょう」
「はい？」
「わかってるわかってる。赤葦って実は策士だもんね」
「言っている意味が、」
「今日は木兎、小見くんたちとお昼食べてると思うよ」
そうなんですか、と眉一つ動かさずに言う赤葦。
赤葦が、笑ったり泣いたり、感情的になることなんてあるのだろうか。
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アニメしか勝たんっ！！ - やっぱり、木兎さんはかっこいい...！ すっごくキュンキュンしました！ それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました！！ (2021年9月6日 19時) (
レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです！！ (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…？と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした！また更新楽しみにしてます！ (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました！やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください！！！ (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年7月30日 20時
