午後１９時 ページ7
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ある日、私はクラス委員の仕事で遅くまで学校に残っていた。
「そろそろ球技大会だな〜。Aは何に出るんだ？」
もう一人のクラス委員の男子生徒の高橋くんと並んで歩いていると、ふとそんなことを聞かれる。
もうそんな時期か、と思って手に持っていた段ボールを抱えなおす。
「うーん、私運動苦手だし今年も玉入れかな〜」
「確かに。考えたらお前毎年玉入れやってね？」
「馬鹿にしてるけど、玉入れも意外と難しいんだよ？」
なんて。適当に会話をしながら渡り廊下を歩いていると、
「赤葦！もう一本！」
木兎の低い声が開け放たれた体育館から聞こえた。
私が立ち止まって声のする体育館の方を見ると、ネット際にいた赤葦と目が合った。
立ち止まる私に、一緒に歩いていた高橋くんが不思議そうに振り返って「どうした？」と首を傾げる。
木兎は、まだ自主練か。
そう思って「何でもない」と首を振ろうとすると、
「A！」
体育館から私を呼ぶ木兎の声がした。
息を整えながらタオルを片手に、私の方に歩いてくる木兎。
きっと、赤葦が呼んでくれた。
「どうした、こんな時間に」
木兎が私と、数歩先にいた高橋くんを交互に見た。
「クラス委員の仕事で」
「なに？これ」
木兎が指すのは私が抱える段ボール。
「生徒総会の資料」
「あ〜、もうそんな時期かよ！」
激しく頭を抱える木兎に、私は小さく笑った。
木兎はそういうの、苦手だもんね。
「重い？俺持とうか？」
タオルを肩に掛けて、私の持つ段ボールの底に手を当てる木兎に私は首を振る。
「平気。木兎は練習戻っ、」
言いかけた途中で、
「木兎さん、今日はそろそろ上がりでいいですか」
赤葦が体育館から顔を出した。
「え？あぁ、まぁ、いーけど」
「じゃあ、お疲れ様です。今日は他の先輩方もいるので片づけは任せてください」
そう言ってぴしゃりと体育館のドアは閉められた。
「やさしーな、赤葦は」
木兎はそう呟いて、ひょいと私の抱えていた段ボールを持ち上げた。
「あれ？さっきいたアイツは？」
辺りを見回すも、高橋くんの姿はもうなかった。
気を遣って、先に行ったんだろうか。
「まーいいや。で、これはAのクラスに運べばいいのか？」
「あ、うん。ありがとう木兎」
「男としてトーゼントーゼン！」
そう言って歩き出す木兎の隣を私も歩く。
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アニメしか勝たんっ！！ - やっぱり、木兎さんはかっこいい...！ すっごくキュンキュンしました！ それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました！！ (2021年9月6日 19時) (
レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです！！ (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…？と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした！また更新楽しみにしてます！ (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました！やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください！！！ (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年7月30日 20時
