陰口と本音 ページ26
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「あれ？今日は木兎と一緒じゃないんだ」
ある日のお昼休み。
テストが近いこともあり図書室で勉強をしていると、以前木兎にノートを返すときに私が呼び止めた男子が正面の椅子を引いた。
彼は後に同じクラスで一緒にクラス委員を務める高橋くんである。
「最近よく一緒にいるの、見るから」
そう言って椅子に腰を下ろす高橋くんに、私はペンを走らせる手を止める。
「いや、クラスのやつらが色々詮索してたから。どうなのかなっていうか、大丈夫なのかなって」
慌てたように言う高橋くんに私が顔を上げると、彼は困ったように笑っていた。
「…大丈夫って？ 木兎が、どうかしたの…？」
私が眉を顰めると、高橋くんは頭をガシガシ掻いた。
「いや、木兎って言うよりお前だろ」
「私…？」
なんのことを言っているのかさっぱり分からない私に、高橋くんは半ば呆れたように息を吐いた。
＊
しばらくして、私は高橋くんの言っていることの意味を理解した。
漫画でよくある、トイレの個室に閉じ込められて水を掛けられるとか、上靴を隠されたりとか、机と椅子を外に投げ捨てられたり、教科書に落書きされたり、そういう陰湿な嫌がらせを受けるということはないけど。
女子特有の陰口っていうのが増えていった。
トイレに行くと大抵女子の集団が群がっていて、私を見るなり「ほら、あの子」「あぁ、木兎の」なんて私に聞こえるように言う。
特別悪く言われるわけではないが、私は【最近木兎と一緒にいる女】という風に見られた。
それについて、私はなにも困ることはない。
まれに【木兎に付き纏ってる女】と言われているのも耳にした。
それを聞いたとき、心臓に何か刺さったような感覚がした。
そうだ。いつも一人でボーっとしている私は、誰から見ても得体のしれない存在。
普段から一人でいる私を珍しがって、木兎に言い寄ってる男子もいた。
胸が、痛いなぁ。
「なぁA、今日の昼赤葦もいい？」
「うん、いいけど」
木兎は知ってか知らずか、いつもと変わらない態度で私の席に来る。
きっと木兎のことだから、知らないふりしてるんだと思う。
はたまた馬鹿が故に、何も気づいていないのかも。
それならそれで、いい。
木兎と一緒にいたい。
でも、迷惑をかけるのは嫌だ。
あれ？
なんだ、この気持ち。
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アニメしか勝たんっ！！ - やっぱり、木兎さんはかっこいい...！ すっごくキュンキュンしました！ それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました！！ (2021年9月6日 19時) (
レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです！！ (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…？と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした！また更新楽しみにしてます！ (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました！やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください！！！ (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年7月30日 20時
