単純 ページ3
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そして放課後。
私は木兎と赤葦とスポーツ用品店に来ていた。
「赤葦見て!このTシャツかっこよくない!?【エースを信じろ!】Tシャツ!」
「いや木兎さん。シューズを見に来たんじゃないんですか」
「おーそうだった!フハハハハハハ!」
赤葦と並んで歩く木兎の数歩後ろにいる私を、木兎が時折気にして振り返っては笑ってくれる。
本当は木兎の隣歩きたいんだけどな。
赤葦、邪魔だな。
不満に思っても、木兎の笑ってる顔を見るとそんなのすぐに吹き飛ぶ。
木兎が楽しいなら、それでいいや。
「赤葦!これどう?真っ赤で目立ってよくない!?」
「赤葦!次は奇抜にゴールドで攻めてみた!」
「赤葦!これは!」
「アカーシ…これは、」
ことごとく自分の選ぶシューズが赤葦によって却下される木兎のテンションが目に見えて下がっていく。
赤葦、木兎の扱い方をわかっているはずなのに、結構厳しいんだな。
「じゃあ、俺ちょっとシューズの紐見てくるんで、木兎さんは選んでてください」
そう言って赤葦はどこかへと歩いて行くと、木兎はふらふらとすぐ後ろにあった長椅子に座り、私に手招きをした。
「なに、木兎」
私が長椅子の前まで行くと、木兎は俯いたまま無言で自分の座る隣を手でポンポン叩いた。
座れってこと?
私が静かに隣に腰を下ろすと、木兎が私の肩に頭を寄せた。
赤葦に駄目出しされたから、メンタルきてるのか。
「…Aは、どのシューズがいいと思う?」
小さい声でボソボソ言う木兎は、バレー部の間でよく言う【木兎しょぼくれモード】っていうやつ。
「私はあの白にラインが入ってるシューズがかっこいいと思った。木兎に似合いそう」
「赤葦も、そのシューズいいって言ってた」
やっぱり赤葦の意見か、と。少し悔しくなりながら。
でもバレーの知識がない私が言うより、赤葦の言うことの方が説得力があるのは間違いない。
「…俺、似合う?」
可愛いな。木兎、可愛いな。
さっきまで赤葦がいることに不満だったのに、どうでもよくなっちゃう。
私って単純だ。
そして木兎も、単純だ。
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アニメしか勝たんっ!! - やっぱり、木兎さんはかっこいい...! すっごくキュンキュンしました! それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました!! (2021年9月6日 19時) (レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです!! (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…?と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした!また更新楽しみにしてます! (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました!やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください!!! (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年7月30日 20時