馴れ初め ページ20
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今日は木兎との馴れ初めの話でもしようか。
木曜日の数学の時間に外に視線を投げると、体育の授業をする隣のクラスの男子がいた。
元気で目立つやつがいるなって、思っていた。
それが、私が木兎を見た ‟初めて”だった。
毎週木曜日の数学の時間が楽しみになった。
今日も元気だな〜って見ながら、彼がたまにこけたりするのを見るのが楽しかったりした。
クスっと一人で笑っては隣の席の人が不審そうに私を見る。
そんなある日。
移動教室で自分の教室に戻ると、自分の席には見慣れない広い背中が折れ曲がっていた。
誰だ、と目を細めながら近づくと、いつも木曜日の数学の授業のときに外で走ってる彼だとすぐに気づいた。
「あの」
「…」
「あの！」
「んがッ！」
声を張ると肩をびくりと震わせた彼が、ゆっくりと顔を上げる。
「あれ、もう授業終わった…のか…？」
寝ぼけ半分なのか、半開きの目を軽くこする。
「って、お前誰だ！」
彼がガタッと勢いよく立ち上がって私に向かって叫ぶから、騒がしかった教室がシンと静まり返る。
ていうか、それはこっちのセリフ。
元気なのはわかっていたけど、目の前にすると元気を超えてるな。
そして、背、高い。
「え、あ、いや。そこ、私の席…なんだけど…」
私が恐る恐る言うと、近くの席の男子生徒から「なに寝ぼけてんだよ木兎〜！」「ここはお前のクラスじゃねえっつうの〜！」「つうかもう昼休み！」とケタケタという笑いとヤジが飛ぶ。
「え？昼？」
彼は壁掛け時計に目を向けて「うお！なんで誰も起こしてくれねえんだ！」と大声で叫び、去り際に「悪かったな！」と私に手を上げて、風の如く教室を出ていった。
風というより、嵐かも。
勢いよく閉まるドアから自分の席へと視線を落とすとノートが置いてあった。
置き忘れ…？
「ボクト、コウタロウ…」
【木兎光太郎】
お世辞にも綺麗とは言えない字を小さい声で読み上げる。
あとで返しに行かなきゃな、と彼が忘れたノートを机の中にしまった。
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アニメしか勝たんっ！！ - やっぱり、木兎さんはかっこいい...！ すっごくキュンキュンしました！ それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました！！ (2021年9月6日 19時) (
レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです！！ (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…？と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした！また更新楽しみにしてます！ (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました！やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください！！！ (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年7月30日 20時
