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〇〇の彼女 ページ14

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「ここからで、見えるんですか」







ふいに頭上から降ってきた声に顔を上げると、ジャージのポケットに手を突っ込んだ赤葦が立っていた。


コイツ、表情どころか存在感すら消せるのか。







「…赤葦」

「もっと前で見たほうが、木兎さんも喜ぶんじゃないですか」







赤葦の視線の先には、ボールをキープして走る木兎。








「私は見えるから大丈夫だよ」

「いいからこっち」






赤葦が強引に私の腕を引いて女子ギャラリーをかき分けて前へと進んでいく。


腕が少し、痛い。


女子たちが ‟何よ” と言わんばかりに鋭い視線を私に向ける。


やっと最前列に出たところで赤葦が「大丈夫ですか」と言いながら、コートの逆サイドを指す。







「三年生の応援席は向こう側ですよ」






道理で。
下級生しかいないわけだ。








「木兎さん」






赤葦が少し声を張ると、気づいた木兎が「アカーシ!」と手を振って「A〜!」と私を呼んで跳ねる。







「赤葦くん」






後ろにいた女の子が赤葦に声を掛ける。






「赤葦くんの、彼女さん?」






女の子が私をチラリと見る。







「いや、この人は、」





赤葦が言葉を切る。


これは、私が答えるべきなのかもしれない。








「私は、」

「この人は、木兎さんの彼女さんだよ」






いつもより、少し大きめの声。


私は目を丸くする。


再び女子ギャラリーがざわつき始める。







《ピィーッ》

「ナイッシュー木兎!!!!!」



それをかき消すようにホイッスルとドッと沸きだす歓声。





「また決めた!」

「キャー!木兎先輩!」




木兎がチームに囲まれてる。


楽しそうだ。


木兎が私にVサインをして、私も木兎にVサインを返す。


木兎が楽しそうなら、私はそれでいい。





―――木兎の彼女は、私。









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木兎先輩ブーム→←誰の…?



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設定タグ:ハイキュー , 木兎光太郎 , 梟谷   
作品ジャンル:恋愛
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アニメしか勝たんっ!! - やっぱり、木兎さんはかっこいい...! すっごくキュンキュンしました! それと、赤あしの片思い...  素敵な作品ありがとうございました!! (2021年9月6日 19時) (レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです!! (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…?と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした!また更新楽しみにしてます! (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました!やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください!!! (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年7月30日 20時

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