アネモネ

38 ページ44

「ごめんね、凌くん。驚かせたくて言わずに来たけど、言えば良かったよね？」

Aがいることに驚きすぎていたのか、心配そうに見てくる


『ほんまに！言えよなー。ビビったわ！』


まだ少しドキドキしている


「凌くんの驚いた顔がみたかったから。大成功かな？」


そう言って微笑むA


……てか、Aが着ているパーカーに見覚えがある


『 …なぁ、A？そのパーカーって……』

「あ！凌くんのマネージャーさんから借りたの。バレたらいけないと思って！」


Aがそう言った瞬間

俺はAを引っ張ってパーカーを脱がせていた

「え⁉凌くんっ…『黙って』」


困惑しているAからパーカーを奪って

近くにあった椅子に投げた


「凌くん！マネージャーさんから借りたのに！」

『別にええって。俺から渡しておくから。それより、健斗くんと純矢くんも呼んでくるから、待ってて！』


そう言って楽屋を出る

Aの焦った声を聞きながら、キャストが集まっているロビーに向かう


……俺、何やってんだ

マネージャーのパーカーって分かった瞬間、脱がせるなんて

俺、こんなめんどくさいやつだったのか

Aも意味不明だったよな


自分の行動に反省していると


「よっ！どうした？そんな沈んだ顔しちゃって」


俺の肩に腕を回してきた健斗くん

俺の相棒


『健斗くん、俺意味不明な行動しちゃったよ』

「ん？いつもことだろ？」


真顔で言う健斗くん

……相談する相手間違えた


『そうじゃなくて！ …このことはいいや。とりあえず、A来てるから来て』

「おっA来てんの？知らなかった」

『驚かせたかったらしい』

「じゃ、純矢も呼んでくるわ」


そう言って、何処かへ行く健斗くん

俺も人のこと言えないけど、自由な人だなー

あの後で、1人で戻るのは気まずいけど

先に楽屋へ戻る


「Aちゃん久しぶりじゃん！元気してた？」

「はい！元気でしたよ」


誰かとAが話している

健斗くんでも純矢くんでもないし


そう思いながら楽屋に入るともっくんがいた


『あ、もっくんやん！あれ？Aと顔見知り？』


二人を交互に見る


「この前の舞台で共演してたんだよ」


もっくんが応える


「共演したっていっても、私はちょい役だったから、絡みは少なかったけどね」


Aがガッカリしたように笑う


「いやいや、十分存在感あったよね。歌もダントツうまかったし」


舞台のことを思い出して盛り上がる二人

39→←37

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す