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ぎゅっと、6 ページ6

「その後な、野渡が部屋まで送ってくれて!! 『暑いからって腹出して寝るんじゃねーぞ』って頭をくしゃって!! 撫でて!! くれて!! 」

「おめーも野渡も同じ寮生だろうが」

「そうだけど!! そうじゃないの!! 」


昼休憩の時間。
喫煙室でタバコをふかしている松田を発見した俺は、一昨日、その晩の興奮を伝えるためにこうしてまくしたてているわけだが。

暗に『帰る場所一緒なんだから送るもクソもねーだろ』と言っている松田に分かってないなぁ、と思う。


「じゃぁお前、俺と飲み行った帰りに俺の部屋まで付き添うか?」

「いや、真っ直ぐに帰宅するわ」
「だろ??」


まぁ普通はそうだ。俺だってそうする。
しかし野渡はそうしない。おなじ寮に住む野郎相手にも優しさを忘れない辺りが、野渡が人気者たる理由なのだ。


「で、萩原ァ、お前告白は?」
「……あはは」


松田が凄むようにして詰め寄ってくる。俺の恋心を知っているコイツからすれば、心底もどかしくて堪らないのだろう。
それにしたって松田はせっかち過ぎると思うけど!!

「いいのー! まだ好きになってから1年くらいしかたってないし!! それに男に告白されたって困るでしょ!!」

「ヘタレ」
「んだとぉ!?」

「そもそも1年も前から好きだったんかお前。想い燻らせてばっかいねぇで日の目を見せてやれよ。ほんで振られて玉砕しろ」

「ひどい!?」


振られる前提で話をする松田に、確かに勝機は無いんだけど……と言い訳じみたことを思ってしまう。

はぁ、漫画の世界みたいに上手くは行かないよな……。

茹だるような暑さからくるだるさにぐてーっと隣の松田に凭れるようにすれば、暑い邪魔だと松田に頭をシバかれる。
ペシンといい音を立てた己の頭に賞賛を送りつつ、特に反応も返さないでいると喫煙室の扉が開く音がした。

ぎゅっと、7→←ぎゅっと、5



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和美/美香 - どういたしまして♪いえいえ。 (2019年3月20日 23時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)
フィラン(プロフ) - さーもんまりねさん» わ〜、わかりみありますか〜!! こちらこそお読み頂いて感謝です〜!! (2018年11月30日 21時) (レス) id: e3629716db (このIDを非表示/違反報告)
さーもんまりね(プロフ) - 受け主地雷分かりみしんどいです。攻め主君最高でございました!!素晴らしい作品をありがとうございました! (2018年11月30日 0時) (レス) id: cf8a3e5bab (このIDを非表示/違反報告)
フィラン(プロフ) - k373さん» ありがとうございます〜! そう言っていただけると書いてて良かったなぁ、って思えます(つω`*) これこらも楽しんで頂けるように精進して参ります(*´▽`) (2018年11月20日 23時) (レス) id: e3629716db (このIDを非表示/違反報告)
フィラン(プロフ) - 和美/美香さん» ありがとうございます! 楽しんで頂けたのならなにより♪ (2018年11月20日 23時) (レス) id: e3629716db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フィラン | 作成日時:2018年11月7日 0時

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