Episode:1 ページ2
───組織の幹部は忙しい。古参ともなれば尚更だ。
任務の遂行に指示、鼠が紛れ込んでないか気を張り続け、不祥事を起こした輩の始末に情報の整理、そして報告。
あぁ、まったく───
｢すっげー暇だ｣
思っている事と言っていることが違うって？ 馬鹿野郎、あんなハードスケジュール真面目にこなしてんのなんてジンくらいのもんだっつーの。あとウォッカ。
手に持った血の滴るナイフをクルリと回し、雑に拭って腰についているホルダーへ。上げた上着を下ろせば何も持ってないように見える。うむ、カンペキだ。
幼い頃から組織の手駒となるよう仕込まれ続け、随分と人間らしからぬ身体を手に入れた俺は、しかし組織に忠誠を誓ってるとか、そういう訳じゃない。
寧ろ当たり前だろう。何故死ぬ様な目に合わされた組織に忠誠なぞ誓えると思ったのか。組織の頭はパッパラパーなのだろうな。
口にした途端ジンから銃口を向けられる所か問答無用で発砲される未来が見えたので、賢い俺は口を噤む。まぁここにジンはいないんだけどね。
手塩かけて育てられた俺は、組織のお望み通りに優秀な
任務を終え、ふんふん鼻歌歌いながら薄暗い路地を歩いていると、前方に蹲る人の影が。
俺みたいなのが
だかしかしそいつはどうだ。着込んでいるのはスーツだし、顔も悪くないと見える。
まぁ、それは今どちらもボロボロなのだが。
こんな時間にこんな場所で一般人がロクでなし共に絡まれて(事後)転がっている。いやこれは気絶してんのか？
よくよく見るために顔を近づければ、
｢うわ酒臭っ！！｣
つん、と鼻を刺すような濃いアルコールの香りに、思わず叫んで顔を背ける。
なんかヤな事があって泥酔したかもしれないだろうに、クズ共に絡まれちまってこの人も災難なもんだな。南無三。
さてどうしたものかと首を傾げる。このまま放っておいたって俺は一向に構わないのだが、また絡まれたりしてたらこの人にとっては草も生えないだろう。
───そういえば俺は暇なんだった。
よし、連れ帰ろう。
そうと決まればと腰を掴んで肩に担げば、ぐぅ、と呻き声が聞こえる。意味もなく溜め息を吐き出して、俺はゆっくりと歩を進めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はろ。(プロフ) - 番外編ないんですか？みたいです！！！！！！ (2022年5月16日 0時) (
レス) @page19 id: 54f54d302e (このIDを非表示/違反報告)
二階堂嗹哉（廻）(プロフ) - あなたか！！あなただったのか！！（机バァン）（警察学校側から読み進め戻ってきた謎主）じんぺーちゃんかわいい！次ははっぎも救いましょう！！ (2019年5月18日 22時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
フィラン(プロフ) - 有明さん» 分かりますか〜！わーい(*´▽`) 未来で皆笑えてたら最高にハッピーですよね！ コメントありがとうございます！ (2018年11月9日 6時) (レス) id: e3629716db (このIDを非表示/違反報告)
有明 - 攻め主いいですよね！分かりますその気持ち。松田くん達には幸せになってほしい！応援してます。 (2018年11月8日 23時) (レス) id: 54541a3b44 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フィラン | 作成日時：2018年11月7日 0時
