ni ページ15
いつもの散歩コース
そこですれ違う人がいる
いつも同じ時間。同じ場所
仕事が終わり、家に帰るといつも通り飼っている犬が熱烈歓迎のお出迎えをしてくれる
疲れてはいるが散歩はかかさない
この子が来てからは家で飲むことが増えた
散歩がてらよったコンビニでビールや酎ハイ、軽いつまみになりそうなものを買っていく
毎日のことなので店員とも顔馴染みになった
コンビニを出るときに必ず入ってくる人がいる
綺麗な女性だ
雨の日や台風の日でも散歩には行く
そんな日でも必ず会う
一度店員に聞いてみたときがあった
〈毎日来ますよ。飲み物と軽めの物を買いますね。美人なんで会えると嬉しいんですよね〉
〈でも先週は来てなかったですよ〉
先週は飼い犬が怪我をして病院に行き来ていなかった
気になったので同じ時間に犬をつれず、コンビニで待ってみた
来なかった
家に帰り、待ちくたびれた様子の犬を散歩に連れていきいつものコンビニに向かった
するとどうだろう
いつもの女性が来たではないか
犬が目印になっていたのだろうか
そう考えると少し怖くなった
ここは仕事帰りに寄ることもできる
だから帰りに寄り、散歩コースを変えた
するとどうだろう
女性は来なくなったという
怖くなった
コースを変えたのは正解だった
しかし何故？
〈最近あの美人さん来ないんですよね〉
「そうなのか？」
〈引っ越したんですかね？眼福だったのに〉
そんな会話をしながら家に帰る
俺の気のせいだったか
そんなことを考えながら
「ただいま」
そう言って玄関を開けると駆け寄ってくる愛犬
頭を撫でてやれば嬉しそうにしている
最近散歩に連れていっていない
仕方がない
外は危ないからな
そんなことを思いながら買ってきたものをテーブルに並べる
愛犬と並んで少し遅めの夕食
ああ、可愛いな
頭を撫でながらそんなことを考える
茶色の長めの毛並みに同色の瞳
スタイルもよく透き通るような白い肌
そして細い首に付けられた紫色の大きな首輪
少し寒いのかずっと体をさすっている
まあ、何も身に付けていないからな
「寒いのか？」
そう言うと小さく頷いた
「先にベッド行っていろ」
直ぐに行く
そう言うと俯きながら寝室に向かった
ああ、可愛いな
俺の愛犬(彼女)は
ーーー私はいつこの部屋から出れるの？
ずっと、ここにいなきゃいけないの？
誰か、助けて……
事故で死んでしまった犬の代わりに飼われている女性
彼女を愛犬と思っているのだろうか？
それとも……
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