【wrwrd！】短編集なんですが！ (ページ14)

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神様、仏様、○○様・・・ページ14

神様、この身を捧げます
僕一人では駄目かもしれん
でも、僕しかいないらしい
だから、助けてください

偶々来ていた神社の階段の下から聞こえてきた小さな声
鳥居の下で、小さな体を必死に地面に擦り付けるように
何かにすがるようにお願いをしている小さな子
まだ五歳くらいだろうか
親に甘えたい年頃だろうに
必死に、泣きながら掠れた声で叫んでいた

ただの気まぐれ
助けるつもりも、話を聞く気もなかった

なんとなくその子の前に姿を消した状態で降り立った
風が吹いたくらいにしか思ってないだろう
けれど、その子は顔をあげた
桃色の瞳が印象的で、女の子かと思ったがよく見れば可愛い顔をしている男の子だった

気が変わった
男の子なら話は別
しかも可愛くてドストライク

神様でも仏様でもないけど

『何を助けるの？』

「えっ？」

突然聞こえた声に驚いている

「神様？」

『違うよ』

「仏様？」

『違うよ』

「誰？」

『今は内緒。誰を助けるの？』

「雨が降らなくて水がないから皆死んじゃう」

確かに最近人間たちの住む世界では雨が全く降らない
だから日照りが続き井戸や池の水は干上がり人々は飢えや渇きで死んでいると聞いた

ーーーぶっちゃけこの世界がどうなろうと関係ないけど……

『助けてあげなくもないよ』

「本当？」

『ただし、君が一緒に来てくれたらね』

「僕が？」

『そう。俺のモノになってくれるなら雨を降らせてあげるよ』

「本当に！なら、お兄さんと一緒に行く
友達と会えへんなるん寂しいけど雨降らせてくれるんなら一緒に行く」

『友達？』

「僕と一緒。目とか髪の色とか違うから皆捨てられた」

ーーああ、なるほど

『お友達も一緒が良い？』

「…………いけにえ？に選ばれたん僕やから
他んやつらは…………」

『大丈夫。一緒に助けてあげるよ』

そう言って俺は元の姿に戻る

「えっ？」

男の子が空を見上げる

それもそうだ
俺は龍となり空を飛んでいる

グルグルと円を描くように飛び、そして吠えた

するとどうだろう
色々なところで雨が降り始めた

「雨だ」

嬉しそうな顔だ
やっぱり笑顔が似合う

けど、俺はそこまで優しくない

雨は降らせた
でも
後は知らないよ

適度な量なら恵みだろうが、降れば降るほどそれは厄となり帰ってくる

友達もつれて男の子が男と一緒にいった国
人間ではないモノが住む世界

だから知らない

降った雨が災いとなり世界を破滅へと誘っていることも

行った先がどんな世界なのかも

彼は知らない