ci ページ11
彼女はどこにでもいるような普通の子だった
ものすごく可愛いわけでも美人なわけでもない
スタイルもまあ、普通
本当に何もかもが普通の子だった
勉強も運動も比較的平均
ただひとつ
彼女が他の人とは違うものがあった
プロも認めるほどの歌唱力
いつスカウトが来てもおかしくないほどだった
文化祭で初めて聞いたとき、鳥肌がたった
歌っている彼女はとても綺麗だった
合唱部に入っていたのだが、彼女はいつもソロを任されていた
いつからだったんだろうか?
彼女の服などで隠れる見えにくいところに傷を作るようになったのは
体育があったわけでもないのにジャージで過ごすようになったのは
教科書やノート、辞典など彼女の物が隠されたりボロボロになっているようになったのは
分かりやすいくらいの彼女はいじめに合っていた
でも彼女は歌うのをやめなかった
ある日
彼女の飲み物に何かを入れられたのか彼女の声が出なくなった
その日から彼女は学校に来なくなった
合唱部のソロは部長と呼ばれてた人がするようになった
でも、俺は彼女の方が上手いと思った
ソロ担当が彼女じゃなくなった大会は今まで全国で金賞を取っていたのに地方大会ですら賞を取れなかった
地方大会が終わった翌日
合唱部の部長がホームに飛び込んだとニュースで流れた
俺は慌てて彼女の家に向かった
実家から離れた高校に行くことになり一人暮らしをしているのだが、実は彼女が隣の部屋に住んでると分かったのはつい最近の事
彼女が学校に来なくなってからだ
課題とかを持っていくように言われ初めて知ったのだ
隣の部屋のインターホンを鳴らす
しかし、反応がない
ドアノブに手をかけると鍵が空いていた
一瞬悩んだが、そのまま中に入った
部屋にあるTVでニュースを見ていた
女子高生がホームに飛び込んだというニュースだ
『……何だ、散々人を虐めて声もこんなにしたのに、自分は簡単に死んじゃうんだ』
「……どないしたんや?」
『チーノ君。私ね、本当は私があの人を殺したかった』
「何言うとるんや?」
『私が味わったことをそのままやってやりたかった。なのにさ自分はこんなに簡単に死んじゃうの』
「いや、だから」
『私以上の地獄を味わってほしかったのに』
「さっきから何言うとるんや?」
『つまらない、つまらないよ。私が殺したかった』
彼女の闇を取り除くために俺はいったいどうすればエエんや?
『ねえ、チーノ君。君が私を殺してよ』
俺はマジでどないすればエエんや?
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