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四十七通目 ページ48

「…私も、続けたいです」

壱「!」

「…ダメですね、私…壱馬さんの声聴いたら、まだ話してたいって思っちゃいました」



もう、やめたいだなんて言えない。

だって…本心はずっと、彼と話していたくて仕方がないんだもん。

もっと…声を聴いていたい…。



壱「っ…嬉しい。俺めっちゃ緊張してました」

「緊張?」

壱「もう手紙やめてほしいとか言われたらどうしようかと思って…」

「…ごめんなさい、これ以上あなたを知ったら…」

壱「…知ったら…?」

「っ…怖く、なりそうで」

壱「……じゃあ、Aさんのこと教えて」

「…え?」

壱「俺がAさんのこと知るのはいいですよね?」

「…うん」



彼が最大限に私を気遣ってくれてる。

関係を、続けるために。

…それに応えたい。



壱「…やっぱりAさん、いい声ですね」

「…えっ?」



突然言われた言葉に、目を丸くした。



壱「…Aさんの綺麗な字で書く俺の名前も好きやけど…臣さんの妹さんだから?めっちゃいい声」

「え、あ…」



自分の顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。

文字とか声を褒められただけなのに…ドキドキして仕方ない。

今が夜で、周囲に誰もいなくてよかった。

褒め殺しにもほどがあるよ!?

こんなのこと言われて照れないわけがない。



壱「…手紙も電話もしたいってのは、俺のワガママ?」

「い、いえ…」

壱「…ほんま?これからもしてええの?」

「…私も、壱馬さんの声好きですから」

壱「っっ…あ、ありがとうございます…」

「な、なんでそっちから言ったことなのに照れちゃうんですか」

壱「照れてへんし」



ふふっと笑えば、電話越しの彼も笑ったのが分かった。



壱「…手紙、今ポストに入れたから」

「え…」

壱「返事、待ってる」

「…はい」

壱「……じゃあそろそろ切るよ」

「……うん」

壱「………やっぱりAさんから切って」

「ええっ」

壱「だって俺からかけたし」



いきなりの無茶ぶりに戸惑う。

…スマホから耳を離して、口元に通話口を寄せた。



「……壱馬さん」

壱「ん?」

「…本当にありがとう。おやすみなさい」



それだけいってプツンっと電話を切った。

たった二言だけなのに、なんでこんなに照れちゃってるんだろう。

もう電話は切れたのに…心臓はずっとうるさいまま。



「…あぁもう、止められなくなっちゃう」



勘違いしちゃうよ、壱馬さん…。

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彼岸花(プロフ) - みるくプリンさん» コメントありがとうございます!何も知らない方からも面白いと言っていただけて感激です!彼らに興味が湧いてくれたら一ファンとして嬉しいです! (2023年2月10日 19時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 初めまして!実物の彼らの事は全く知らないんですが何気なく読み始めたら、めーっちゃ面白いです!これからも頑張って下さい✨ (2023年2月10日 19時) (レス) @page10 id: 49fc610c53 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - riku推しさん» コメントありがとうございます!お心遣い身に沁みます!これからも楽しんでいただけるよう精進していきます! (2023年1月23日 18時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
riku推し(プロフ) - はじめまして!ハート1つしか押せないのが悔しいほど毎日楽しみにしておりました!毎日楽しみとは言いつつも、作者さんのペースで無理のないようにしてください🥺続編読めるのを心待ちにしております!突然失礼いたしました! (2023年1月23日 18時) (レス) id: 6429ca0a87 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます!毎日更新する予定ですので気長に楽しんでいただけると嬉しいです。 (2023年1月8日 19時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2022年12月13日 22時

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