四通目 ページ5
「A…!お、お前は俺のこと好きなんだろ!言ってくれたじゃねぇか!仕事しなくても一緒にいてくれるだけでいいって!」
「…好き、だったけど…」
「それに、な、なんでこの人がっ…!」
臣「…お前さ」
「ひっ…」
臣「マジでそれでいいって思ってんの?」
「な、なっ…」
臣「女の家に転がり込んで一生このまま?そんなの俺が許すわけねぇだろ」
「ひっ…」
臣「出てけ。今すぐ荷物まとめろ」
「そ、そんな…」
臣「こいつの金で買ったもんは持ってくなよ。…二度とこいつの前に現れんな」
お兄ちゃんの圧に負けたのか、彼は渋々自分のカバンを取り出して、洋服や下着類を詰め込んでいった。
元々カバン一つで転がり込んできたからか、彼の私物は意外にも少なかった。
…いや、彼が使っていたものはほぼ私が買い与えていたもの。
部屋にはまだ、彼のために買ったものがたくさんあった。
机の上に鍵を置くと、彼は私を睨みつけた。
「お前なんて金だけだったんだよ、顔だけはよかったから一緒にいてやっただけだ」
調子に乗んな!!
…それだけ言い残して、逃げるように私の家から出て行った。
挨拶も謝罪も感謝もなし。
不思議と、悲しみはなかった。
…ただ心に少し、穴が空いただけ。
臣「…A」
「………」
臣「…馬鹿野郎お前!なんでお前はあんな男に引っかかんだ!!」
「うわああああ!ごめんなさいぃぃ!」
臣「いつから付き合ってた!」
「に、二か月前からです…」
臣「はぁ〜…お前二か月でどんだけ出費が増えた?」
「え、えっと…」
今度は私がお兄ちゃんの前に正座する番だった。
「彼にクレジットカード渡してたから…その…」
臣「……………」
「……十万です」
臣「はぁ〜……」
盛大に頭を抱えたお兄ちゃんに、私はひたすら正座して頭を下げるのみだった。
お兄ちゃんに怒られてようやく私の目が覚めた。
…これが、いつものパターンだった。
臣「…とりあえず、部屋片づけるぞ」
「…あい」
元彼が残していったごみを捨てて、彼のために買った洋服とかも全部まとめて捨てた。
「ゲーム機、高かったのになぁ」
臣「俺の知り合いにあたって買い取ってくれるやつ探しといてやるよ」
「うん」
ゲーム、嫌いじゃないけど得意じゃないんだよね…。
スイッチはあるけど、これは友達やお兄ちゃんが来た時に一緒に遊ぶ用。
けど彼のために買ったこのプレステ5。
朝から必死に並んで買ったのになぁ…。
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彼岸花(プロフ) - みるくプリンさん» コメントありがとうございます!何も知らない方からも面白いと言っていただけて感激です!彼らに興味が湧いてくれたら一ファンとして嬉しいです! (2023年2月10日 19時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 初めまして!実物の彼らの事は全く知らないんですが何気なく読み始めたら、めーっちゃ面白いです!これからも頑張って下さい✨ (2023年2月10日 19時) (レス) @page10 id: 49fc610c53 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - riku推しさん» コメントありがとうございます!お心遣い身に沁みます!これからも楽しんでいただけるよう精進していきます! (2023年1月23日 18時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
riku推し(プロフ) - はじめまして!ハート1つしか押せないのが悔しいほど毎日楽しみにしておりました!毎日楽しみとは言いつつも、作者さんのペースで無理のないようにしてください🥺続編読めるのを心待ちにしております!突然失礼いたしました! (2023年1月23日 18時) (レス) id: 6429ca0a87 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます!毎日更新する予定ですので気長に楽しんでいただけると嬉しいです。 (2023年1月8日 19時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸花 | 作成日時:2022年12月13日 22時