＊２３５話 ページ36
「っ……！」
ドンッと彼を突き飛ばして
会議室から逃げるように飛び出した。
まだ感触の残っている唇を、手で拭う。
でもそれは…全然消えそうにないくらい
唇に…頭に残っていた。
ボロボロと涙が零れる。
…なんで涙が止まらないの？
……なんで、キスなんてしたの…。
私のこと、好きなの？
…嫌いなの…？
あの時と同じ言葉って…どういうこと？
忘れてるって…やっぱり昔、どこかで会ったことあるの？
頭にいろんな疑問が浮かんでは、答えの出ないまま。
ムシャクシャするようなモヤモヤするような…よく分からない、未知の感情が身体の中を渦巻く。
ぐしゃりと自分の前髪を握った。
……嫌じゃなかった……。
そんな自分が嫌だった。
抵抗できなかった、本当なら…罵詈雑言言って、もっと強く…彼を責め立てるつもりだった。
初めてのキスだって…アイツは分かってたはずなのに。
分かってた上でキスしたなんて、最低最悪。
それなのに…。
私は彼のこと…まだ嫌いになり切れていない。
嫌いになれていないのに…いっぱいいっぱいになって、ビンタしちゃった…。
どうしよう、相手は芸能人なのに…痕になっちゃったら…。
…どうしよう……キス、しちゃった…。
キャパオーバーすぎて、ただただ涙が溢れてくる。
「っぐすっ……うぅ…」
どうすればよかったの？
分からないよ…。
貴方が分からない。
いつもいきなり現れて、私の心を搔き乱すくせに
ここ最近ずっと無視してきて
かと思えばいきなり話しかけてきて
無視されてたの、気のせいかと思ったら
キス、なんてしてきて。
なんで何も言ってくれないの、なんで何も教えてくれないの。
分からないから教えてよ…。
壱「…Aさん？」
「っ…壱馬、さん…」
ふと顔を上げれば…壱馬さんが走ってきた。
壱「Aさん、樹知らな…」
「………」
壱「…Aさん、泣いてるん…？」
俯いていたのに、バレてしまった。
覗き込む彼の、心配そうな瞳と目が合う。
壱「…目、擦ったらあかんで」
「っ…はい…」
壱「…どうして泣いてるか、聞いてもいい？」
優しく、気遣いながら聞いてくれる壱馬さん。
隠そうと目を擦ろうとしたら、私の手を握って防がれてしまった。
その代わり…彼の指が優しく頬を撫でてくれる。
その優しさが心に沁みて…さらに涙が溢れてしまった。
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彼岸花(プロフ) - あすかさん» コメントありがとうございます！どんな展開になるか想像してくださるとなんか照れくさいです笑 楽しみにしてくださってて嬉しいです、どんな展開になるかお楽しみに！ (8月29日 10時) (
レス) @page48 id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - うわぁ〜これはいっちゃん来るのかな？？壱馬くんかな？？違う展開なのかなぁ、、🤔💭楽しみです〜 (8月29日 1時) (レス) id: 343c46a3b9 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - なおさん» コメントありがとうございます！ちょっとずつですがいろんな関係が動いてます…！この３人のもどかしい感じをもう少し味わっていただけたらと思っています！ぜひ今後も呼んでくださると嬉しいです！ (8月23日 23時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 昨日からもうドキドキが止まらないです〜！！！いったいどうなるの藤原樹！！！壱馬さん…いや壱馬くんんん！！！！って感じです本当毎日ありがとうございます！！ (8月23日 21時) (レス) @page38 id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - みうらむさん» コメントありがとうございます！樹くんのターンお待たせしました！少しずつですが樹くんと主人公ちゃんとの関係が明かされて行く予定ですので、お楽しみに！ (8月21日 23時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年8月2日 19時
