＊１５９話 ページ10
「…頑張った、のに……」
築いてきたお客様からの信頼も
大好きなブランドの信頼も
後輩からの信頼も
全部無くなった。
「……もう、来てくれないよね…」
樹「……………」
「…もう、私の顔なんて…見たくないよねっ…」
じわじわと…視界が滲んでいく。
唇を噛んで耐えようとするけど…瞳を動かしただけで頬が濡れてしまった。
泣くつもりなんてなかったのに…。
もう…壱馬さんが来てくれないかもしれない。
私の接客を好きだって…
努力を認めてくれた人が居たから…頑張れたのに…。
もう…頑張れない…。
……頑張りたくない。
一度気を緩めてしまえば…涙は止まらなかった。
おしぼりで流れる涙を拭いていたら…
目の前の彼が、ハンカチを渡してくれた。
…素直にそれを受け取って、涙を拭く。
樹「……知ってる」
「ぐすっ……え…？」
樹「俺だけは…お姉さんの弱いところも、ほかの人に見せられないところも、全部知ってる」
「……………」
樹「だから…隠さないで泣いていいよ」
優しく笑った彼の言葉が胸に響く。
ボロボロと大粒の涙が零れた。
情けない姿、見られたくないはずなのに。
この人にならいいかなって、そう思ってしまってる自分がいる。
借りたハンカチから、彼の香水の香りがして…。
いい香りに安心して涙が止まらなかった。
「どうすれば…良かったのかなぁ…」
震えた声で溢れる言葉は本音ばかりだった。
彼女に接客を譲ればよかったの？
でも壱馬さんは私の接客じゃないと嫌だって言ってくれた。
私自身だって…自分の仕事を…お客様を取られるのが嫌だった。
そんな気持ちを押し殺して…譲るべきだったのかな…。
樹「…本当に優しいね」
「…え…？」
ふと顔を上げれば…向かいに座っていた彼が隣に座っていた。
その綺麗な顔が…私の顔を覗き込んでいる。
樹「他人の悪意は自分のせいだなんて考えてたら…壊れちゃうよ」
「っ………」
樹「Aさんを傷つけたやつにまで…そんな優しくしないでよ」
「……………」
樹「…俺、これでも怒ってんの」
「…え……？」
樹「俺は知ってる…あなたのその真っ直ぐな優しさを知ってるから」
「っ………」
樹「…Aさんを傷つけたやつのことなんか、考えないで」
私の頬を撫でる彼の指が…あまりにも優しい…。
怒ってる…？
どうして…あなたが…？
私のために…？
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彼岸花(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます！大好きだって言ってくださって本当に嬉しいです！私のペースでのんびりやっていきたいと思います！夏休み期間に入ったらまたたくさん投稿したいと思っているのでよろしくお願いします！ (8月2日 19時) (
レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - いつも楽しく拝見してます。本当に大好きな作品です。彼岸花さんのペースで！！これからも応援してます。 (8月2日 1時) (レス) @page50 id: 094c8809cf (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - y0u（よぅ）さん» コメントありがとうございます！テストで更新滞ってしまうの本当に申し訳ないです>< なんとか再試ないように頑張りますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (7月25日 18時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
y0u（よぅ）(プロフ) - いつも楽しく読ませて貰ってます！！ テスト、頑張ってください！！笑 (7月25日 14時) (レス) @page42 id: 424b4648f0 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！お久しぶりです、お忙しい中作品を読みに来てくださって嬉しいです！ありがとうございます！これからも自分のペースで頑張っていきたいと思いますので、また読みに来てくださると嬉しいです！ (7月19日 0時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年7月4日 19時
